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デキルニンの就活業界分析

これから就活に動き出そうかなぁ・・・という学生さんのために、世の中にある業界を16の業界に分けてザックリと分析したオリジナルの業界分析情報をご用意しました。読むだけで業界の現状や今後の展望、求められる能力や資質などが分かります。

一般の就活メディアに載っているような“ありきたり”な分析情報とは違います!

親御さん向けのコラム原稿の執筆などでお世話になっている人財育成コンサルタントの吉田竜一先生と非常に有能な助手の方(この助手の方は、みなさんもお持ちの“Suica”の開発に携わっていた方だそうですよ!)です。なので、専門的な知見を持った大人がしっかりと分析しています。

分析の基になっているのは、官公庁が発行している統計データなどの様々な資料をはじめ、業界に特化したビジネス書やビジネス雑誌、新聞記事など、信頼性の高いモノばかり。

各業界の分析情報の中では、その業界を細分化して業種ごとに分類しているので業界構造もとても分かりやすくなっていますし、各業界ごとに比較可能な「入職率・離職率」「平均給与」情報も掲載。

また、業界動向が分かる「TOPICニュース」や「今後の業界展望」に加えて、「今後その業界で活躍するために必要な『資質』や『能力』」にも言及しています。

ちなみに、「今後その業界で活躍するために必要な『資質』や『能力』」は、今後の業界展望に基づいて導き出していますので、今後、企業側が積極的に採用したいと考える学生像が分かります。

業界分析とは、世の中にある業界の種類やその特徴を知り、自分が興味のある業界を見つけるために行う就活の大事な作業のひとつ。

「人気企業ランキング」などを見る前に!
業界地図などの本を読む前に!

まずは各業界の概要を知ることから始めましょう。

目次:就活業界分析ラインナップ

  1. 金融業界
  2. 建設・不動産業界
  3. IT・情報通信業界
  4. メディア業界
  5. 電機・精密機器業界
  6. 食品業界
  7. 生活用品・製薬業界
  8. サービス業界
  9. 飲食業界
  10. 娯楽・レジャー業界
  11. アパレル(衣料・装飾・化粧品)業界
  12. 小売・卸売業界
  13. 物流・運送業界
  14. 自動車・機械業界
  15. 資源・エネルギー・素材業界
  16. 教育業界

金融業界編

金融業界って何?

「金融」という言葉は「資金を融通する」という行為から生まれました。資金が余っている人から必要な人に移転(貸し出し)して、利子や手数料で儲けるのが金融業です。

最初は、お金を持っている人・集団からお金を必要としている人・集団への単純な融資だけでしたが、時代が進むにつれてお金を集めて保管するサービスや預けられたお金で取引の決済をするサービス、株や債券といった証券の取り扱いサービス、加入者全員でリスクを負う保険(不運が起きた場合にその当事者に他の加入者が資金を融通する)のサービスなどが新設されました。

歴史的に見て、ここまで長期的に多種多様なサービスが追加されてきた業種は他に無いのではと思います。

金融業界を細分化してみる

金融業界を簡単に細分化してジャンル分けすると、以下の通りとなります。

銀行:メガバンク、地銀、ネット銀行etc
証券:証券会社、投資銀行、証券取引所etc
ノンバンク:信販業(クレジットカード)、リース業、消費者金融etc
保険:生命保険、災害保険etc
その他:信用金庫、JAバンク(農林中金)、各種電子マネー事業etc

金融業界の離職率と平均給与

就活でみなさんが気にされる指標、「離職率」と「給与」について、統計を確認してみましょう。まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

左から6番目の「金融業、保険業」をご覧ください。ご覧のとおり、金融業界は入職率・離職率ともに、かなり低い業界です。

私の肌感覚としても、人の出入りは少ない業界という印象があります。金融業界から他業界へ転職したり、他業界から金融業界へ転職したり、といったケースもほとんど聞きません。
IT技術者がWebサービスの拡充に伴って中途採用されるといったケースを除いては、金融関係の経験無しに転職すること自体が困難だと思われます。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

黄色太線が金融業、保険業の平均給与です。

グラフを見れば一目瞭然ですが、他業種と比べると高給な業種と言えます。全業種の中で「電気・ガス・熱供給・水道業」に次いで高給です。

ただし、こちらのデータは全就業者の中の「源泉徴収を受ける給与収入者」から抽出した集団をサンプルとしていますので、学歴(中卒・高卒・大卒)や職掌(総合職・一般職・現業職)の区別がされていません。そのため、中卒・高卒の就業者が多く、一般職や現業職の比率が高い業種は平均給与も低下する傾向にありますので、その点は注意してください。

金融はお堅い業界なのか?

私の幼少期は、ちょうど「バブル景気でイケイケドンドン」の時代でした(ピンとこない学生の方は御両親に訊いてみてください)。また、住んでいたのが都市部ではなく地方でしたので、高給サラリーマンといえるような人も少なかったように思います。

そのため、近所の地銀で働いている方々に対しては「羽振りが良く、全体的に大人しくて、お堅い人々」という印象を持っていました。

しかし、バブル崩壊を経てその感覚はガラッと変わりました。

不良債権の処理で経営危機に陥り、政府から公的資金を投入されて生き永らえるというケースがいくつもありましたし、酷いケースでは破綻という事態に至るケースもありました。

経営危機を乗り越えるために、貸し渋り(お金の貸し出しに消極的になる)や、貸し剥がし(すでに貸し出したお金を、期限前に返済を迫る等)が横行して、社会問題にもなりました。

「銀行というのは晴れの日に傘を貸して、雨の日に傘を取り上げる」なんて言われ始めたのもこの時代だと思います。

そんな時代を経て、企業としての「安定してそう」という印象は、もはや崩れ落ちています。

昔は「公務員の次に安定していて、公務員より高給」と言われていたものですが、現在はとてもそんな状態ではありません。異業種の参入や、ATMの増加、インターネットサービスの拡充などにより、国内の銀行が営業エリアを越えて利益を奪い合う戦国時代になっているのです。

金融業界の変遷と現状分析情報

日本国債 “ウハウハモデル”の終焉

10年ほど前は、メガバンクや生保といった大型金融企業(機関)の利益モデルと言えば、「日本国債の運用」でした。
低金利でお金を集め、それより高利な国債を購入して、その利子の差額で儲けるという方式です。
しかし、自民党が政権復帰してアベノミクスが始まり、日銀総裁が黒田氏に交代して大規模金融緩和策が実行され、国債の金利も大幅に下がったことで状況が一変したのです。

明日の食い扶持を探す金融業界

国債運用で稼げない状況に陥った金融機関は、おおむね以下の4つの施策を打ち出しています。
①融資を増やす
②株や為替で稼ぐ
③手数料で稼ぐ
④固定費を減らす

現在、金融機関はこの4つの策で利益を確保しようと躍起になっています。

「①融資を増やす」に関しては、思うように数字が上がっていません。
バブル崩壊・リーマンショック・ギリシャショック等の経験から「金融機関の経営健全化」が世界的な潮流となっており、そのための様々な規制が現在進行形で構築されているのが原因です。

「②株や為替で稼ぐ」についても、安定的な利益には至っていません。
世界経済の情勢に大きく左右される分リスクは大きく、こちらも「金融機関の経営健全化」と反目するからです。

このような状況のため、消去法的に「③手数料で稼ぐ」と「④固定費を減らす」を選択している金融機関が多いのが現状のようです。

「③手数料で稼ぐ」については、直接的に手数料を上げていますし、ネット銀行の機能強化などによって決済回数を増加させようとしています。「〇〇万円以上の預金があれば、月々の振込は××回まで無料!」なんてサービスを各金融機関がこぞって行っていますが、それも手数料収入を確保するための、客の奪い合いの現れなのです。
また、信託銀行や証券会社などは資産運用を長期的に担当することによって、資産運用手数料を増加させようとしています。

「④固定費を減らす」については、IT化・機械化による省力化が進行中です。ITや機械は数字で判断する定型業務が得意分野です。金融機関という業界は数字ベースで動くことが要求される業界ですので、IT化や機械化と非常に相性が良いのです。今までは店舗のカウンター内でやっていた仕事がどんどん機械化されています。対面営業の機会が減少し、ATMやWebサイトでほとんどの取引が可能となっており、店舗の統廃合や経営体力の弱い地銀が他行との合併を迫られるケースも引き続き進行するでしょう。

殴りこんでくる異業種

近年は異業界からの金融業界への参入が相次いでいます。ソニー(ソニー銀行、ソニー生命、ソニー損保)、セブンイレブンジャパン(セブン銀行)などが代表的です。

また、広義の金融という意味では電子マネーも含まれます。
鉄道各社の鉄道ICカード(Suica,PASMO,ICOCA等)、楽天のEdy、NTTドコモのIDなどが代表例です。

これらの参入企業が強い理由は、「基本的に店舗を持たないため、コスト面で大きく有利」という点と、「手数料の源泉となる取引を本業で発生させられる」という点です。

これは上記した「③手数料で稼ぐ」と「④固定費を減らす」の利益確保策にそのまま当てはまる強みです。

「堅実」というイメージは崩れつつある

筆者の世代、あるいはそれより上の年代の方にとっては、金融業界と言えば「堅実」なイメージでしたが、その後のバブル崩壊、山一証券や拓殖銀行の破綻、政府資金による金融機関の救済、銀行の統廃合、外資・異業種の参入などを経て様相は一変し、「競争せずに業界内で住み分ける」という従来の考えでは生き残っていけない状況にあります。

今後、一層のIT化と機械化が進むであろう金融業界において存在感を発揮するためには、「ITやロボットを使う側」もしくは「ITやロボットを導入する旗振り役」にならねばなりませんし、仮想通貨などの新しい技術・決済手法についても、上手く利用して利益を上げねばなりません。

そういう現状から、
「文系だし、特にやりたいことも無いし、とりあえず銀行を受けよう」
「コンピュータとか苦手だから、あんまり関係無さそうな金融に行くんだ」
などという理由では当然のことながら通用しませんし、金融業界においても起業家精神が要求される時代になるのだろうと思います(もうすでになっているかもしれません)。

求められる資質や能力は?

まずは何よりも「数字を解釈できる力」が必要になります。

たとえば、「本四半期の売上目標は2億円で、2ヵ月終了の時点で売上実績1億円です」。

あなたは、即座に「ヤバいじゃん!」と感じましたか?

「四半期は3ヵ月、その2/3が経過しているのに売上が目標の1/2しか計上できていない」とパッと頭に浮かんだ人はとりあえずセーフ。

逆に、「ふ~ん」としか思わなかった方は残念ながらアウト!!

金融業界を志すのであれば、「数字を解釈できる力」が必須の資質です。

次に必要なのは「興味を持つ力」です。

IT化と機械化の加速により、これからの金融業界では「マニュアル通りの仕事」はどんどん縮小されていくでしょう。そんな状況の中で、貴重な戦力となりたいのであれば、
「今どんな業界が盛り上がっているのか」
「今後、どんな業界が成長しそうなのか」
「最新技術はどうなっているのか」
といったことに敏感でないといけません。

つまり、金融機関が持っている「豊富な資金」の投資先を発見する能力が必要なのです。

「特に目標とかないけど、安定してればいいかなと思って・・・」などという理由で金融業界(特に銀行)を選んで就職すると、労働基準法の移り変わりとともに、リストラ第一候補になってしまうかもしれません。

建設・不動産業界編

人口減少の影響をモロに受ける厳しい業界ではありますが、人間が生活をする上で、住居や道路、オフィスといった存在が必須であることに変わりはありません。

「形として残るモノづくりや営業がしたい!」という方にはおススメの業界です。

建設・不動産業界って何?

この業界は、皆さんの生活と密接にかかわっていることから、業務内容自体はイメージしやすい業界だと思います。

「建設」と「不動産」をざっくりと切り分けると、マンションや商業ビルといった人間が日々を過ごす建物から、道路やダムなどのインフラまで、様々な建造物を造るのが建設業です。そして、造ったものを貸したり売ったり、あるいは土地の売買仲介を行ったりするのが不動産業です。

※ただし、建設・不動産業界をまとめて「不動産業界」と呼ぶ場合もありますのでご注意ください。また、「ウチは建設も販売もしているよ」というような企業も多いですので、あくまでざっくりとした分類です。

建設・不動産業種を細分化してみる

建設・不動産業界を分類すると大まかに4つに分類できます。

建設:ゼネコン、ハウスメーカー、内装業、リフォーム施工、道路敷設、電気工事、土木工事、設計事務所
販売:住宅販売、マンション販売、デベロッパー(土地取得から開発・運用まで大規模案件を担う企業)
仲介:不動産売買仲介、賃貸仲介
管理:賃貸マンション管理、ビル管理、建造物の設備メンテナンス

建設・不動産業種の離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

「建設業」は一番左、不動産業は中央の「不動産業・物品賃貸業」です。

意外と思われるかもしれませんが、建設業は入職率・離職率ともに低い業界です。複合サービス業(郵便局や農協)と同程度ということで、人の出入りはかなり少ないと言えるでしょう。3年以内離職率に関しては平均的な業界ですので、専門知識や技術が蓄積されるのに従って待遇が上がったり、やりがいを見つけたりできる業界なのかもしれません。

一方、不動産業はどうでしょうか。
建設業に比べると一般的なビジネススキル(営業・事務作業スキル)が必要とされる業界ですので、他業種から不動産業へ入職することも不動産業から他業種に転職することも比較的容易と言えます。そのため、転職による人の動きが一定数存在すると考えられます。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

水色太線が建設業、オレンジ色太線が不動産業・物品賃貸業の平均給与です。

合計とあわせて3本の太線が同じ位置に固まっているのが分かります。合計(全就業者平均)より少々高いといったところで、給与水準としては平均的な業界と言えるでしょう。

ただ、こちらのデータは全就業者の中の「源泉徴収を受ける給与収入者」から抽出した集団をサンプルとしていますので、建設業のように高卒・中卒労働者を現場に多く抱えるような業種は平均収入が低めに出る傾向があります。

建設業・不動産業ともに単価の高い商品を扱っておりますので、実績ベースで報酬が決まるような企業ですと、30代前半で年収1000万超なんてケースもあり、収入の上下格差が激しい業界です(個人的印象論ですが…)。

建設・不動産業は意外と好調?

「ゼネコン 最高益」のワードで検索すると、最近の記事(2017~18年)が出てくると思います。そういった記事にある通り、ここ最近は好調が続いている業界です。

この要因は主に以下の3つです。

①「都市圏の再開発」
②「震災復興・災害対策」
③「オリンピック」

都市圏の再開発は華やかな商業施設と高層オフィスビルを新設するような案件です。東京では虎ノ門エリア、大阪では梅田周辺の再開発などが現在進行形ですね。

また、震災復興や災害対策、そしてオリンピックに向けたインフラやスタジアムの建設といった事業は、何千億単位の金額が動きますので、大きな利益につながります。ただ、あくまで「降って湧いた特需」であって、業界が主体的に作り出せる売上でないのが悩ましいところです。

実際、近年の好調がどこまで続くかという不安もよく耳にします。「オリンピック後が不安」という話です。また、ゼネコンや大規模商業施設を企画するデベロッパーは儲かっていますが、一戸建て施工を生業とするハウスメーカーや、地方の不動産業は「苦戦している」という方が正確かもしれません。

建設・不動産業は不人気なのか?

残念なことに、建設・不動産業界は就活においては、やや人気が少ない業界であることは確かです。
建設・不動産業界の就労者数は約500万人程度と言われており、これは全就労者の7~8%程度にもなる規模の大きな業界です。しかし、実際の就活生で建設・不動産業界をメインターゲットとしている人は全体の7~8%には満たないと思います。

特に、最も数の多い私大文系学生で、建設・不動産業界を第一志望にしている方はほとんど見かけません。

この原因は「業界イメージ」にあると思います。

実際、業界内で働かれている方には失礼な表現かもしれませんが、建設・不動産業界はどうしても『3K(きつい・汚い・危険)』の代表的業界というイメージがあります。また、談合や強度偽装などの負の印象を与えるニュースも多く、学生が消去法的に業界選びをすると、「なんかキツそうだし、体育会系っぽいし…」と、及び腰になってしまうのでしょう。

人口減少による売り上げの先細り

次に業界の展望についてですが、先行きを不安視するような声が多いですね。

「建設業界のリストラ」「受注件数の減少」なんてニュースやコラムは探せばいくらでも出てくるのですが、その原因は「少子高齢化・人口減少」にあります。

確かに、どの業界(福祉・介護業界を除く)においても、少子高齢化・人口減少によって売上の減少は予想されます。「売上=単価×売上個数」とすると、消費者の頭数が減るのですから、売上個数が減って売上が減少してしまうのはほとんどの業界で共通の事象です。

しかし、建設・不動産業界においては、単価の下落という問題も高確率で同時発生するため、ダブルパンチを食らってしまうことが予想されるのです。それは、人口減によって土地の需要が減ることによって、土地価格の下落が予想されるからです。

さらに、緑地法による生産緑地指定の解除が始まる2022年問題(初耳の方は検索してみてください)や、所有者不明となっている土地の有効利用に関する法制化の動きなどもあり、供給される土地自体は増える傾向にすらあります。使う人間が減って、出回る土地が増えるのですから、基本的に価格は下がるものと考えられるのです。

ここまでマイナスの印象ばかり書いてきましたが、「お先真っ暗だよ!」と言いたいワケではありません!!

人間社会が存続するかぎり生活を営む『場所』自体は必要なので、その場所を作る業界である建設・不動産業界は底堅い売上が期待できる業界です。ただ、業界全体が大幅に上振れして儲かるという時代も想像することは難しいです。80年代バブル期のように、猫も杓子もマイホームを建て、土地を買い、マンションに投資するなんていう状況が再来することは期待薄でしょう。

今後の有望な案件は?

海外展開も間違いなく必要となる業界ですが、今回は国内での最近の動向、今後の展開に絞ってお伝えします。

都市圏においては、「次々と新しいサービスが生み出され、そのサービスに適合した建物が必要になる」というビジネスチャンスがありますので、(とくに商業施設については)引き続き大きな売上が見込めます。最近の典型的な例としては、郊外型の巨大アウトレットモールですとか、インターネット通販を支える物流施設、外国人旅行者の増加による宿泊施設などが挙げられます。

また、リノベーションが一般的になってきているのもあり、賃貸物件を中心にリノベ案件も増えているようです。地方に比べれば若い人が多いため、新しいライフスタイルに合致した住居を提供することで、売り上げの向上が見込めます。
 
地方ではコンパクトシティ化の動きに乗れるかどうかが成功のカギだと思います。コンパクトシティ化というのは地方の都市計画の一種で、中心市街地を再整備して住民を中心に集め、中心市街地の人口密度を高めるという方策になります。

自治体がサービスを提供するにしても、企業が商売をするにしても、対象となる住民は密集してくれた方がありがたいです。なぜなら、広いエリアに住民が点在するような状態になると、支店や中継基地が必要になりますし、移動時間や交通費もかかるためです。こういった理屈から、住民を集めて経済活動が活発になる程度に人口密度を高めようというのがコンパクトシティ化です。

色々と批判はある方策ですが、多かれ少なかれこういった動きが地方では出てくると思いますので、自治体を巻き込んで、「持続可能な市街地の再整備」を進めていくというビジネスチャンスはあるのではないでしょうか。

求められる資質や能力は?

建設・不動産業界で必要とされる能力は「想像力」ではないかと思います。

「とりあえず駅前に10階建てくらいの雑居ビルを建てて、あとは野となれ山となれ」というような、バブル期の残念な建設イメージしか持てないのであれば、顧客に魅力を感じてもらうことはできないと思います。

人口が減り、都市圏への人口移動も一段落しつつある現在、「駅前」だけでテナントが釣れる時代ではありませんし、バブルを経て日本人の不動産投資に対する損得勘定もシビアになっていますから、従来通りの温度感で「だいたいこんな感じ」の営業をしても契約は取れないでしょう。

建設物が完成した後、「維持費」ばかりかかる「負債」(”負”動産なんて表現もありますよね)になるのではなく、モノの流れ・人の流れから利益を生み出す「資産」となることを具体的にイメージし、かつ相手に伝える能力が求められるのではないでしょうか。

ただ造る、ただ販売や仲介をする、というこれまでのやり方は今後確実に通用しなくなります。
人の流れをどう作り、どんな価値を付加するのか。利用シーンを想像して顧客に伝え、場合によっては完成後の施設運用まで担当するというような総合的マネジメントも必要になると思われます。

「生活基盤(インフラ)をより具体的・総合的に提供していく」という点をポジティブに「面白そう!」と感じる方は、説明会などに足を運んでみてはどうでしょうか。

IT・情報通信業界編

こちらの業界には研修等で関わることが多く、実情に即した情報提供ができると思いますので、ぜひご一読ください。

IT・情報通信業界って何?

ITは、Information Technologyの略で、情報技術のことを指します。端的に言ってしまえば、コンピュータを利用してデータを蓄積・処理し、生活やビジネスに役立てるための技術を指します。

このITにおいて、データの処理や分析の仕組みを作るのが「IT業界」、データの通信を担うのが「情報通信業界」となります。

IT・情報通信業種を細分化してみる

IT・情報通信業種を分類すると、以下の通りとなります。

通信:回線事業者、携帯電話キャリア、インターネットプロバイダー
ハードウェア:メーカー(サーバー、ルーター、スマートフォン等の製造)
ソフトウェア:OS開発、ソフトウェア開発、アプリケーション開発
Web開発&SIer:Webサイト開発・運用、情報システム開発・運用

SIerは、Systems Integratorの略です。市販ソフトを開発するのが③、個別の企業用に特注されたシステム(ソフト)を開発するのが④というイメージです。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

IT・情報通信業界は左から3つ目の「情報通信業」です。

特に、ITは「ブラックな業界」というイメージがありますし、「スキルを持った技術者が各社を行き交っている」なんていう認識もあるので、入職率・離職率ともに高いのではないかと予想されているかもしれませんが、実際は入職率・離職率ともに平均程度の業界です。

専門性が高く、「モノ作り」の仕事ですので、やりがい自体は感じておられる方が多いように思います。新卒社員が配属直後に「周囲が何を言っているのか全然分からない!」と言って辞めるパターンはありますが、勤続年数が増えるに従って、技術や知識を身につけ、自分の確固たる居場所を作りやすい業界なのでしょう。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

水色太線が情報通信業の平均給与を表しています。他業種と比較すると平均給与は高めの業界です。(大卒者の比率が高い業界ですので、平均値は高くなる傾向があります)

また、グラフの傾きを見て気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、給与に関しては年功序列の傾向が強い業界です(綺麗な右肩上がりの直線)。

IT・情報通信業界はチームで仕事をすることが多く、1つ1つのプロジェクトの期間も長いため、「短期スパンで個人実績を評価していく」というのが非常に難しい業界です。そのため、年功序列的な昇給制度となってしまうことが多いようです。

人手が足りない!?

IT企業での研修などの際、「人が足りない」という話をよく耳にします。
大企業こそ一段落はしているものの、中小企業ではまだまだシステム化が不十分というケースが多いですし、インターネット上のWebサービスも多様化の一途をたどっていますので、増え続ける需要に対してマンパワーが不足しているのでしょう。

また、IT技術・知識の更新が早すぎて、育成が間に合っていない点も大きいと思います。IT関連の最新技術は「教えようとしても、教えられる人がいない」という難題があるため、技術者が自分で調べて身につけるしかありません。エネルギーのある20代若手社員ならまだしも、30代中盤ともなると脱落者が出てくるのが実情です。業界に10年以上いて、新技術が出る度に調べて理解するということに疲れきっている方も残念ながら存在します。

こういった要因から結果的に人が使い潰されてしまい、人手不足に繋がっているようにも思います。

IT業界と比較すると、情報通信業界は人手不足とまでは言えない状況です。
回線(携帯電話・インターネット)という通信業界の基幹事業はすでに国内では伸びきってしまっており、社員の頭数を求める時代ではなくなっているようです(注:ただし、携帯ショップ等の「小売り」に類する現場は慢性的人手不足です)

そのため、「最新技術を扱える技術者」や「回線以外の新たなビジネスを創造できる人」といった専門性のあるスペシャリストに対するニーズが高まっているように思います。

IT業界はブラックなのか?

IT業界への就職を志望している方は気にされる部分だと思いますので、簡単に私の見解を示します。

IT業界が労働時間の面でハードだという傾向は確かにあると感じます。具体例で一番酷いケースですと、「月300時間超の残業が4ヵ月続いた」という体験談を聞いたこともあります。ただし、企業や所属する部署によるので一概には言えませんが、その傾向自体は否定できない現実だと考えています。

ちなみに、システムエンジニア、プログラマーといった「開発」に近い仕事ほど長時間労働の傾向は強まります。逆に、ヘルプデスクや保守メンテナンスの仕事であれば、営業時間が設定されていたりシフトが組まれたりするので、勤務時間は常識的な範囲に収まることが多いです。

IT企業に応募・エントリーする前に、「どういった職務を担当する可能性があるか」という点は確認するようにしましょう。

IT業界の展望・・・

「AI」・「ビッグデータ」・「ブロックチェーン」といった旬なワードに関しては一通り調べられていると思いますので、本コラムでは敢えて別の切り口、『内製化』についてお話します。

『内製化』とは、今まで社外に委託していた自社の情報システム開発・運用を社内で行うようにすることを言います。最近は情報システムの『内製化』を進めようとしている企業(特に中小企業)が多い傾向にあります。

要因は以下の2つです。
①企業の存続のために、継続的なIT投資が不可避であるという認識が広まった
②開発ツールやクラウドサービスの充実化によって、従来より低コストでの開発が可能になった

要は、「向こう数十年IT投資からは逃げられないが、昔より少人数かつ低コストで開発が可能になっているのだから、社内で作って安価に仕上げよう」ということです。

ただ、一般企業が完全な『内製化』をするのは困難です。
特にプログラミングや試験を行うフェーズはどうしても多人数が必要になりますので、最大必要人員を常時雇用するのはコスト高になります。そのため「頭数が必要なフェーズはアウトソーシングを利用し、少人数で実行可能な設計やサービス開始後の保守・運用については自社でやる」あたりが落としどころになってくるのではないかと予想しています。

こういった流れに適応するため、今後、IT業界においては「より柔軟なサービス形態」が求められることになるでしょう。

例えば、「試験フェーズのみ請負う」とか、「設計のサポート技術者の派遣」といったサービスが挙げられます。「数年前までは見積書を見て諦めるしかなかったが、今なら内製化を含めて安くできるかもしれない」と考えている企業は多いので、顧客それぞれの要望に合わせた柔軟な対応ができる企業が長期的には伸びて行くと思います。トータル提案で「一切合切を我が社で開発!合計XX億円ポッキリ!」という柔軟性に欠ける方式を続けていては、客離れは不可避となるでしょう。

情報通信業界の展望・・・

情報通信業界においては、「回線を売る(携帯電話・インターネット)」という方式で売上を拡大していくのはほぼ限界に近付きつつあります。総務省の「平成29年通信利用動向調査」によると、13歳~59歳の9割以上がインターネットを利用しており、国民の8割以上が携帯電話かスマートフォンを保有しています。誰もがインターネットに接続できる時代となった今、「人がインターネットに繋がる回線」の売上向上は望み薄となっています。

このような状況ですので、情報通信業界は各社こぞって「回線以外の収益源の確保」を目指しています。

典型例としては自社ブランドのクレジットカードの展開や、生活用品等を扱うECサイトの開設などが挙げられます。通信回線は利用料支払いが定期的に発生するため、電子マネーやクレジットカードとの相性が良好であり、そこから新しい事業に繋げようとしているのです。

もう1点力を入れているのは「人ではなく『モノ』がインターネットに繋がる回線を売る」という分野です。

要は、IoT用の回線を売るということです。

今後、家電や自動車など様々なモノがインターネットに接続される時代になりますので、受け身で待っているのではなく、「〇〇をネット接続して××機能を提供できます」と、協力企業に新たなビジネス企画案を売り込んでいくような姿勢が求められます。

こちらの実例としては電気使用量を計測するスマートメーター向け回線などが分かりやすいでしょうか。スマートメーターは、検針員が現地検針する代わりにネットワークを通じて使用量データを収集するため、回線使用料につながる新ビジネスとなっています。

求められる資質や能力は?

IT・情報通信業界に必要とされる能力を1つあげるとしたら、「コミュニケーション能力」になります。

IT・情報通信業界の仕事は「長期スパンの案件をチームで実行する」という特徴がありますので、「人の言っていることを正しく理解する」ことと「自分の考えや抱えている課題を端的かつ正確に伝える」ことが確実に要求されます。

これができていない人が多いから、誰が何をやっているか分からなくなって、プロジェクトが「炎上」するのです。

また、この業界の仕事においては関係者間の技術・知識レベルの差が如実に表れます。特に大きいのが、顧客とエンジニアの技術・知識レベルの差です。

「IT企業の技術者が何か説明しているのだけれどサッパリ意味不明だった」と顧客がボヤかないために、「何をどこまで理解しているか?」という点を会話で探りながら、相手の知識レベルに合わせたアプローチをとる能力が求められるのです。

IT・情報通信業界にはセキュリティに強い人、ネットワークに強い人、顧客業務を理解している人など十人十色のスペシャリストが存在します。しかし、それらの知識・技術を結集して「商品」にしていくことができる人はほんの一握りしかいません。そういう意味では超人材不足です。

情報技術に自信がなくとも、人と協力して1歩ずつ着実に「モノ作りをしていく」という仕事に興味がある方は、IT・情報通信業界を目指してみてはいかがでしょうか。

文系卒から「モノ作り」に近い仕事に食い込むという観点でもおススメの業界です。

メディア業界編

非常に人気が高い業界で、就活においては最難関グループに属している企業も存在します。ただ、変化を迫られている業界ですので、「高収入!高ステータス!」と、淡い憧れだけで入ろうとすると痛い目をみるかもしれません(という内容のお話です)。

メディア業界って何?

メディア業界は前回のIT・情報通信業界との線引きが微妙な業界ですが、本シリーズにおいては「メディア業界=広告を含むコンテンツを制作・放送・販売する業界」という区分けとします。

インターネット以前から存在する「マスメディア」を構成する業界と言った方が分かり易いかもしれません。

メディア業種を細分化してみる

メディア業種を分類すると、以下の通りとなります。

放送事業者:テレビ局、ラジオ局、ケーブルテレビ局、ネット放送テレビ局
出版・新聞:出版社、新聞社、印刷会社、出版取次会社
広告:広告会社
制作:テレビ番組制作会社、映画・アニメ制作会社、レコード会社

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

メディア業界は、左から3つ目の「情報通信業」に含まれています。

テレビ局や出版社に絞った離職率等があればよかったのですが、信頼性のある統計は残念ながら発見できませんでした。そのため筆者の感覚論の域は出ないのですが、上記グラフの数字より実際の離職率は高いように感じます

メディア業界は非常にハードな業界で残業も多く、時間に追われて精神的にもキツイため、辞める人は多いようです。また、「面白いコンテンツを作りたい!」と思って業界に入ってから「しがらみばっかりで作りたい作品が作れない!」とか「裏方の仕事ばっかりじゃないか!」と現実を知って離脱するパターンも存在します。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

こちらも、業界区分としては「情報通信業(水色太線)」に含まれます。

平均値ですと概ねグラフ通りかと思いますが、皆さん御存知の通り、メディア業界の給与はピンキリです。広告大手やテレビ在京キー局ですと、30代で年収1000万超がスタンダードです。逆に制作会社や小規模出版社となると上記グラフよりも低年収となるパターンが多いです。

単純な話ですが、メディア企業の競争力を決めるのは「どれだけ多数の消費者にコンテンツを届けられるか」という点です。それゆえ、多数の消費者が視聴する媒体を持っている企業ほど、売上も給与も高くなります。

誰もが発信できる時代に

皆さんは動画・音楽・小説などを自主制作し、Webサイトに投稿したことはありますか?

今や「コンテンツ」は何でもかんでもインターネットを通じて公開できる時代です。プロ顔負けの作曲であろうが、10年後に見て恥ずかしくなるような素人演劇であろうが、Webサイトに投稿することで全世界に向けて発信することが可能になっています。

これは筆者の中高生時代には考えも及ばなかった時代の変化です。例えば、筆者は高校時代に同級生とバンド活動を一時期やっておりましたが、演奏やライブの動画を公開したくても手段がありませんでした(ちなみにボーカルをしていました。楽器演奏はできません…)。

また、今みなさんにお読みいただいているような文章コンテンツはさらに入口が狭く、有名大学の教授といった役職持ちか、出版社に知り合いでもいない限りは発信不可能だったと言っても過言ではないでしょう。

このように、昔は人や企業が「私の、我が社の〇〇を皆に知ってほしい!」と希望する場合、メディア業界の力を借りるしか解決策は無かったのです。ですから「知ってもらいたい!」という欲求に応えるマーケットを独占できていたのです。

しかし、この独占がインターネットの発展によって崩されてしまいました。

現在は旧来のメディアとインターネットに適合した新規参入メディアが消費者の余暇時間を奪い合う激戦時代に突入しています。既存メディアは「創業以来こうやってきた」「こんなコンテンツで儲けてきた」というビジネススタイルを見直す必要性に迫られているのです。

世代間で利用メディアに大きな差異が発生!?

メディア業界で起きている変化の1つが「世代による利用メディアの違いの発生」です。

具体的には若者が既存メディアから離れてインターネットを重視し、高齢者がテレビ等の既存メディアを重視する傾向のことです。
(※参考:総務省「平成29年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」)

この傾向に既存メディアは頭を抱えています。

「実際の利用者層に合わせて番組や記事を作ればよいのでは」と思われるかもしれませんが、そう簡単には行かないのです。

理由は広告にあります。

広告主企業は「自社商品を数多く売りたい」と考えますので、必然的に主要ターゲットとしたいのは「購買力のある若い世代」になります。つまり、広告主からより多くの広告費を引き出すためには若い世代の利用者を確保しなければならないのです。

このように、既存メディアは「経営上ターゲットにしたい利用者層」と「実際の利用者層」が乖離するというジレンマを抱えているのです。

コンテンツのジャンル多様化

もう1点大きな変化として、コンテンツのジャンルの多様化があります。

誰もが発信できる時代になったのに加え、検索エンジンが高性能化した結果、マイナーコンテンツにも光が当たるようになりました。

「eスポーツ」が分かりやすい例です。ゲームのプレイ動画を検索することが可能となったので、上手なプレイヤーのスーパープレイを誰でも見れるようになりました。「映像を見て楽しむ」という人が増えてくれば、必然としてビジネスチャンスが生まれます。他のプロスポーツビジネスと同様で、「多くの人が見る競技は広告塔になる」ということです。

結果として、今やゲーム大会は「冠スポンサーがついて、大人のゲーマーが真剣に勝負する場(ネット生放送有)」となっています。

また、この流れの中で機器メーカーや飲料メーカーのスポンサードを受けてプロ化した「プロゲーマー」が誕生しています。スポンサー契約が成り立つためには「人目につくこと」が不可欠ですから、企業目線で「ある程度広告効果が見込めるだろう」と推測できるレベルに、eスポーツのファン層は広まっているということです。

こういったケースのように、マイナーコンテンツがインターネットを利用してファン層を拡大し、1つの趣味のジャンルとして市民権を得るようになっています。

メディア業界の展望・・・

上記のような変化が起きていますので、メディア業界全般において「時代の変化に適応したサービスに変えていく」ということが求められます

最も緊急的な変化を求められているのは新聞業界です。

新聞という媒体は「速報性のあるニュースコンテンツを文字で発信」という点が特徴なのですが、速報性についてはインターネットが最も得意とする分野です。24時間Webサイトにアップ可能なニュースサイトに対し、朝夕2回の発行しか無い新聞は分が悪いです。

さらに、コスト面でも不利です。「取材費+編集費」という点は変わりませんが、「紙代+印刷費+流通費」が発生する新聞に対し、ニュースサイトは「Webサイトの運用費」だけで済みます。新聞はビジネスモデルにおいて圧倒的不利になっているのです。

こんな状況ですので、アメリカの有名新聞社であるニューヨークタイムズは紙版を廃止して完全電子化を検討しています。既存の人材や取材ネットワークを活かしつつ、有料ニュースサイトに脱皮しようということです。現時点で成否は判断できませんが、長い歴史による信頼性がありますので、新規参入のネットメディアより多くの顧客を獲得できるかもしれません。

また、出版業界も売上微減が続く中で試行錯誤しています

電子書籍化は言うまでもないので、他の例をあげます。最近、インターネット上でアクセス数を稼いでいるコンテンツ(主に小説)を書籍化するという方式が高い利益を上げています。「ヒットするか分からない新人作家の作品」より「ネットで一定の評価を得ている作品」の方が成功率は高く、安定した売上が見込めるのです。こちらも「出版するのは未発表の作品」という業界の固定観念を打破したからこそ実現できた新方式です。

こういった展望を見ると、「既存メディアは雲行きが怪しいのかな?」と思われるかもしれません。確かに、既存メディアの「今までの成功体験」や「しがらみ」が変化の邪魔をすることはあるでしょう。

しかし、既存メディアは「高い知名度」「広告主との連絡チャネル」「取材ネットワーク」「人的・設備的資源」「タレント事務所とのパイプ」など、新規参入側からすれば脅威となる優位性も数多く持っています。「新規参入メディアの作った土俵に乗っかり、強みを活かして主導権を乗っ取る」という大胆不敵なスタイルは既存メディアにしかできない芸当です。

求められる資質や能力は?

メディア業界に必要とされる能力は「採算必達力」だと思います。

これから先のメディア業界は競争激化によって、「今までのやり方を踏襲しても客は減る一方で赤字が増えるだけ・・・」という時代になります。ビジネススタイルを変えつつ、1つ1つの案件でより費用対効果を明確にして、「冷徹なまでに採算をとる」ということが必要となってくると思います。

また、IT技術の進歩についても継続的チェックが必要です。中でも「ビッグデータ」の発展には要注意です。ビッグデータは多数の人間の行動分析をすることに向いていますので、「広告が売上に繋がったか否か」という点は精密に分析されるようになるでしょう。それにより、広告主の判断もシビアになると予想されます。

しかし、裏を返せば「説得力のある商談をするためにビッグデータを活用する」ということも可能です。新たなIT技術に「ただ恐怖する」のではなく、利益拡大のツールとして「活用する」というマインドが求められます。

現代は「メディアに入ったら人生勝ち組!」なんていう甘い時代ではなくなっています。逆に「競争激化ドンと来い!新しいメディアの採算スタイルを俺が(私が)確立してやる!」という勝負根性のある人には非常に向いている業界だと思います。

電機・精密機器業界編

いわゆる日本人の大好きな「エレクトロニクス関連産業」と言えばよいでしょうか。日本のモノづくりの最先端を走る各社が集まる業界ですので、後学のためにもご一読ください。

電機・精密機器業界って何?

今回取り上げる業界は電機・精密機器業界です。

電機製品、およびその部品を製造しているメーカーが対象範囲です。ただ、多角化に注力している企業も多く、一口に電機・精密機器業界と言っても各社の事業範囲はバラバラになってきています。1社1社の経営戦略の違いが際立ちやすい業界ですね。

電機・精密機器業種を細分化してみる

電機・精密機器業界を分類すると、以下の通りとなります。結局のところ最終的な製品として何を作っているかによって分類されますので、今回は右側に代表的な製品を並べました。

家電メーカー:テレビ、AV機器、冷蔵庫、洗濯機、エアコン
電子部品メーカー:モーター、半導体、コンデンサー、バッテリー
精密機器メーカー:カメラ、時計、プリンター、スキャナー、医療機器、測定機器
重電メーカー:発電設備、変圧器、絶縁装置

②と④は主にBtoBで、①と③はBtoBもBtoCも両方手掛けている企業が多いです。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

電機・精密機器業界は、左から2つ目の「製造業」に含まれます。

入職率・離職率ともに他業種と比べると低い業界です。また、製造業は90年代前半が就労者数の最も多い時期であり、長期的に見ると就労者数が減少傾向にある業界です。減少要因は工場の海外移転およびロボット化の進行と考えられます。ただし、ここ最近は好景気・円安・新興国政情不安の影響から工場の国内回帰の動きなどがありますので、グラフにおいても入職率の方が離職率を上回る結果となっています。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

茶色太線が電機・精密機器業界を含む「製造業」の平均給与を表しています。給与水準としては平均よりやや高めな業界です。

電機・精密機器業界は業界の特色として「生産設備の自動化」に熱心な業界です(自社の生産力UPに加えて技術力アピールになるため)。そのため、製造現場で働く労働者が減少し、上級職の比率が増えてくると考えられますので、長期的には平均給与の数値は上向いていくのではないでしょうか。

多角化か?集約化か?

電機・精密機器業界では日々新しい製品が生み出され、途上国に生まれた新たなプレイヤー(企業)もどんどん世界市場に出てくる新陳代謝の激しい業界です。そのため、「何事業に注力するか」という判断を短いスパンで下していかねばなりません。

そういった判断を積み重ねた結果、事業内容は個々に色合いがガラッと違う状態になっています。従来の主業と別の分野に手を付ける多角化や、逆に不採算部門を切り捨てて採算部門に集中するという集約化が進んでいるのです。

多角化の筆頭としては、ソニーの金融部門が挙げられます。
本業とはかなり縁遠いジャンルでソニー生命から始めて、ソニー損保、ソニー銀行と広げていき、いまやグループ収益の柱とも言える利益を生んでいます。

精密機器の方では、富士フィルムが代表的です。
グラフィックシステム・ヘルスケア・精密部品を扱う「ヘルスケア・マテリアルズ部門」が伸びており、2017年度決算では営業利益の半分以上がこの部門です。

逆に集約化の例としてはパナソニックが挙げられます。
家電部門への投資を減らし、BtoB領域(とくに車載機器・部品関連)に投資して「選択と集中」を行っています。

最近は国内家電メーカーのライバルが少なくなったこともあってか、生き残った家電部門の採算も改善しているようで好調です。

このように、企業が生き残りをかけてドラスティックな投資と撤退を繰り返すのが電機・精密機器業界です。「製造業」のイメージと言えば堅実着実といった雰囲気がありますが、こういう一面を見ると予想外にエキサイティングな業界なのかもしれません。

「為替」からは逃げられぬ業界

今やエレクトロニクス産業は世界的なサプライチェーンが組まれておりますので、国境をまたぐ取引からは逃れられない時代になっています。そのため、「為替」によって業界の利益が左右される状態になっていることは理解せねばなりません。

家電大手企業が最も分かりやすいのですが、円ドルレートがもっとも円高であった2011,2012年頃(1ドル80円程度でした)が営業利益の「底」となった時期でした。数千億円単位の赤字を計上するメーカーもあり、「日の丸家電メーカーが全部潰れるんじゃないか」というような声もありました。

その後、2012年年末の総選挙で自民党が政権に戻り、アベノミクスの中で金融緩和政策がとられたことにより、円相場が円安に振れました。円安が進むにつれて各メーカーの経営状態は改善し、2018年現在はかなり安定感を取り戻したような印象があります。

「コモディティ化」について

若干旬の過ぎた言葉かもしれませんが、電機・精密機器業界を選択するのであれば避けて通れない言葉である「コモディティ化」についても触れておきます。

コモディティ化とは「商品の差別化が不十分になり、価格以外に差が無くなること」を指します。

この言葉の典型例が液晶テレビです。2011年にテレビ放送がアナログからデジタル方式に変わるのを機にテレビの液晶化が進みました。大手各社が積極投資をして製品開発を行い、激しい販売競争が起こりました。しかし、製品価値で圧倒的な差をつけるような商品は登場せず、液晶テレビのマーケットが「価格しか差がない状態」、つまり、「コモディティ化」してしまい、果て無き値下げ競争となりました。

「液晶テレビは3年で価格が半分に落ちる」と言われるほど価格下落が凄まじかったのです。

精密機器の業界においても、家庭用プリンター/スキャナーなどはコモディティ化が顕著です。デジカメもスマホ付属カメラに利益を奪われているため、あてはまるかもしれません。

逆にコモディティ化から遠いのは、「他の企業がマネできない商品」であったり、「マーケットが小さく、算入しても売上が見込めない分野」です。現状では医療機器や産業用の計測器が代表例でしょうか。

こういったコモディティ化から遠い分野は安定的な収入が望めるでしょう。

電機・精密機器業界の展望・・・

電機・精密機器に限らない話ですが、モノが売れるためには「付加価値」が必要です。技術力の追求だけに明け暮れるのではなく、付加価値の追求に主眼を置かねばなりません

付加価値には「価格」「技術的付加価値」「非技術的付加価値」の3種類があります。

「価格」は、言葉通り同じ商品なら安い方が良いということです。

「技術的付加価値」は、単純に言えば、他社が技術的にマネできない製品を作ることによる付加価値です。

「非技術的付加価値」は、電機・精密機器業界からはちょっと想像がつきにくい付加価値で、いわゆる「カッコよさ」や「ブランドイメージ」による価値のことです。

「アパレル業界」などは非技術的付加価値の宝庫です。数十万円のブランドバッグなどが典型例で、ブランドイメージやカッコよさに消費者は価値を認めて購入しています。機能面だけを冷めた目で比べれば、ブランドバッグより多容量・頑丈・便利かつ安い製品はいくらでもあります。それでも有名ブランドが存在できているのはそのブランドに非技術的付加価値があるからです。

散々言われていることではありますが、今まで日本の電機・精密機器メーカーは技術的付加価値に傾倒しすぎた感があります。最先端技術を使って高価格な商品を作っても、それがよっぽど目新しくて便利な機能でもない限り、消費者にとっては「価格」の方が大事です。「〇万円かけてこの機能を買いたいと思うか?」という問題意識を常に持たねば、存続が危うくなるでしょう。

求められる資質や能力は?

「顧客意識」とそれを「社内に浸透させる力」を持つことが必要とされるでしょう。

技術力が付加価値に繋がらないケースで起きているのは、だいたいが「商品開発において顧客の利用シーンを考えていない」という事象です。

「物凄い加工技術を使いました!」
「人の目で判別できる限界を超えて美しくしました!」
「特に法律で制限されているワケではない化学物質までナノグラム単位で検出します!」
という商品を作って売り出しても、顧客(消費者)からすると「へぇ、すごいですね。で、私の生活や仕事がどう変わるの?」という話にしかなりません。

自社商品が顧客にどんな価値を与えるのか、顧客の生活やビジネスをどう変えるのかをリアルにイメージすることは最低限必要なことであり、かつ、最も重要なことです。

また、こういった視点の重要さは2011年頃からずっと言われていますが、人間はそう簡単にマインドを変えられるものではありません。規模が大きい組織に長年所属している人間がある日いきなりマインドを変えようとしても難しいのです。

ですから、若い人には、頑固なおじ様おば様社員をうまく説得して顧客意識を持ってもらう、つまり「(新しい考え方を)社内に浸透させる力」が求められます

「年上キラー(表現が古い!)」と友人から言われたことがあり、技術立国日本の最先端に立ちたいという意欲のある方は電機・精密機器業界も検討してみてはいかがでしょうか。

食品業界編

若者のコスパ志向や販売チャネルの多様化、貿易自由化などによって非常に変化が激しくなっており、若く柔軟な発想が求められる業界ではないかと思います。

ちなみに、有名食品メーカーや飲料品メーカーは就活において人気が「超高い」企業群です。大学生の皆さんにとって、「身近にある商品」のメーカーは仕事に実感が湧きやすいため、志望者が集中する傾向にあります。

対象範囲と業種を細分化してみる

食品業界で取り扱う範囲は、いわゆる第一次産業の農林水産業と、その農林水産物を加工して食品として販売する食品製造業とします。

大まかに分類すると、以下の通りとなります。

農林水産業:農業、酪農畜産、水産、林業
食品メーカー:食品製造、食品加工、製粉、製パン、菓子製造、調味料製造、動植物油脂製造
飲料メーカー:清涼飲料製造、酒類製造
その他製造:飼料製造、たばこ製造、種苗製造、木材・合材製造
関連組合:農協、漁業組合、森林組合

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

先ほどの分類にて、②③④に属するメーカーは左から2つ目の「製造業」に含まれます。⑤の関連組合は右から2番目の「複合サービス事業」が該当します。入職率・離職率ともに他業種と比べると低い業界です。

特に各種組合の属する複合サービス事業は入職率・離職率ともに最も低い結果になっています。農協・漁協・森林組合などは公務員色の強い仕事ですので、中途採用なども少なく、一度入った人が定年までそこで働くという文化が根強いのかもしれません。

①の農林水産業は上記統計には含まれていません。(推測ですが、この調査は5人以上の常用労働者を抱える事業所を対象としていますので、個人事業や小規模集団の多い農林水産業は調査対象になりにくく、統計として信頼できるサンプルの数に満たないのではないかと思います)

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

先ほどの分類の①は農林水産・鉱業(灰色太線)、②③④は製造業(茶色太線)、⑤は複合サービス事業(紫色太線)にそれぞれ該当します。

製造業分野を除くと、収入面は残念ながら全体平均を下回ってしまう業界です。

特に第1次産業に属する農林水産・鉱業は数値として厳しいと言わざるを得ません。農家の知人などに話を聞いてみても、「すごく儲かっている」というのはホントに一握りです。「採算はきついけど好きでやっている」という人が大多数ではないでしょうか。

ただ、やはり食べ物を作るというのは非常にやりがいのある仕事ですから、「仕事に対する満足度」という点は高いのではないかと思います。

良くも悪くもマネをしやすい業界

食品業界は良くも悪くも「他社・他商品のマネをしやすい業界」と言えます。

機械工業などと比較すると技術面のハードルが低いため、他社商品のマネが容易です。そのため、ヒット商品が出ると競合他社が同じベクトルの商品をすぐに開発し、一気に競争が激化するのが食品業界の特徴です。

最近の例だとペットボトルコーヒーなどが典型例です。
昨年サントリーの「CRAFT BOSS」がヒットしたため、各社後追いでペットボトルコーヒーの商品を開発してマーケットに投入しました。今や国内の有名飲料メーカーのほとんどが自社の缶コーヒーブランドでペットボトルコーヒーを販売しています。

商品寿命が短い

1件1件の商品開発コストもその他製造業に比べれば安価ですので、どんどん新製品が作られ、その陰でどんどん商品が消えていく業界です。つまり、「商品寿命が短い」ということです。

「あのお菓子好きだったけど最近見ないなぁ・・・」という経験をするのはこれが原因です。

また、商品寿命が短いゆえに、例外的に「ロングセラーにできた商品」は非常に貴重です。消費者を飽きさせないための新商品と、消費者に安心感を与える定番ロングセラー商品の両面で利益を出していくことが求められるのではないでしょうか。

EUとのEPAについて

あまり話題になっていないですが、影響極大と言えるニュースがEUとのEPAです。今年7月に協定署名が行われ、条約発効に向けた国内整備が進行中です。

EPAはEconomic Partnership Agreementの略で、「経済連携協定」のことです。関税の自由化に主眼を置くFTA(自由貿易協定)の内容に加え、知的財産の保護や競争ルールの整備といった点にも踏み込むのが特徴です。

このEUとのEPAで農産物や食料品についての関税が大幅にダウンする予定です。

EUから日本に輸入される商品では、ワインやチーズ、牛肉豚肉といったあたりが代表的です。ワインは発効と同時に関税が即時『撤廃』される予定です(個人的に非常に期待しています!)。輸入関税のダウンは、食品業界にとって原材料コストの低下というプラス面と、国外生産者との競争が激化するというマイナス面があります。

日本からEUへの輸出においては、牛豚鶏肉、醤油、緑茶から林産物(木材、合材等)まで広範囲に関税が即時撤廃されます。

EU圏の人口は5億人(※イギリス含む)に上り、TPP参加国と比較すると先進国が多く所得水準が高いため、単価の高い商品・嗜好品などにも販売拡大のチャンスがありそうです。

ブランドや知的財産を守るという世界の流れ

食品業界に限りませんが、今世界でブランドや知財を守るための商ルールの整備が進行しています。

上記EUとのEPAにおいてもブランドの保護制度である「地理的表示保護制度」が盛り込まれる予定です。特産品をあらわす特定のフレーズ(商品表示)をブランドとして指定し、他の一般商品ではそのフレーズを使えなくするという制度です。

説明文章だけではピンと来ないと思いますので、今回のEPAから具体例を出します。

日本国内にて表示制限を受けるフレーズで代表的なのは「ゴルゴンゾーラ」です。ブルーチーズの代名詞となっているゴルゴンゾーラですが、このフレーズはイタリアの限られた生産地で作られたチーズ商品にしか使用できなくなります。「国産ゴルゴンゾーラ」のように国産とか〇〇県産と冠をつけてもダメですし、「ゴルゴンゾーラ風チーズ」という逃げ方もNGのようです。

逆に、EU域内で規制されるフレーズには和牛関連が多いです。
「神戸ビーフ」「米沢牛」「特産松坂牛」といったフレーズをEU域内生産品に使うことは基本的に不可となります。

余談ですが、筆者の地元和歌山の産品では「紀州金山寺味噌」が指定されています。現時点で国内48品目が対象になっているので、皆さんの地元産品が入っていないかチェックしてみるのも面白いですよ。
(※参考「農林水産省 日EU・EPAにおける地理的表示(GI)の取扱いについて」)

類似商品が製作されやすい食品業界において、ブランド・知財を整備することは必須のアクションです。苦労してロングセラーで稼げる商品を作っても、「パクリ商品」に売上を奪われてしまっては元も子もありませんので、ブランド・知財に関するルールを活用し、利益を確保するという意識が必要です。

また、紙幅の関係上詳細は省きますが、農業や種苗企業に興味のある方は「種苗法」と「種子法」に関しても調べておいてください。「種子」の知財に関わる重大マターです。

食品業界の展望

皆さん旅行先で普段食べないようなものを食べて「美味しかったなぁ」と頭に残っているものはありませんか?

旅行という非日常の中での感動経験は頭に残りますから、旅行後の消費行動がそれに影響を受けるなんてこともよくあります。「美味しかった〇〇、通販してないかな?」と検索してしまうのが典型例です。

この観点から、訪日旅行客に食べてもらって「これ美味しい!」という体験をしてもらうのは、海外売上を向上させるために効果的だと考えられます。帰国後に「自国で入手できないかな」と考えてもらえれば、自然と海外売上に繋がるはずです。

訪日旅行客に食べてもらうためにパッケージデザインを変えたり、味を調整することも重要ですが、まずは安心して食べてもらえる環境をつくることが最優先です。

例えば「ハラール認証」などが挙げられます。
ハラールはイスラム教の戒律で許された食品・料理のことを指しており、イスラム教の方でも安心して食べられるという認証が「ハラール認証」です。いくら良い商品を作っても、口に入れてもらわねば意味がありませんので、「海外の人の抵抗感をなくす工夫」には積極的に取り組む必要があるでしょう。

また、インターネットを通じた販売チャネルの多様化にも対応していく必要があります。食品業界はいまだEC化率が2.4%程度(※注)に過ぎません。生鮮品を中心に「実物を見ずにネットで買うのは不安」というのが消費者の一般的な感覚です。

数字としてEC化は「壁にブチ当たっている」というのが現状ですが、この壁を打ち破ることができれば一気にマーケットリーダーに躍り出ることも可能です。購入ボタンをクリックしやすくなる工夫、つまりは「安心感・信頼感」を消費者に持ってもらう方法を模索するのが急務と言えるでしょう。
(※経済産業省「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査))

求められる資質や能力は?

食品業界で必要になるのは「バイタリティ・柔軟性・判断スピード」の3つです。

人口減少、コスパ志向、海外との競合、EC化といった環境激変要因があり、さらには商品寿命が短いという特徴まである業界です。

「昨日まで売れていた商品がパッタリ売れなくなる」なんて日常茶飯事に発生します。そんな中で、1つ1つのネガティブな事象に肩を落としている暇はありません。へこたれることなく、臨機応変かつスピーディに手を打っていける人材が求められるのではないかと思います。

餃子の王将のCMで流れる「食は万里を越える」というフレーズが筆者は大好きです。

「食」って芸術分野と同じくらい、簡単に国境を越えちゃうものだと思います。試行錯誤しながら「美味しい」を世界に届けるというミッションに興味のある方は、食品業界への就職を考えてみてはどうでしょうか。

生活用品・製薬業界編

「大量生産」という人類史の近現代を象徴するような業界で、競争も非常に激しいのが特徴です。

生活用品・製薬業種を細分化してみる

今回の「生活用品・製薬」業界で取り扱う範囲は、それらの製造メーカーとします。
大まかに分類すると以下のとおりです。(代表的な商品を右側に並べました)

<生活用品系>
トイレタリー:石鹸、スキンケア・ヘアケア・オーラルケア商品、洗剤、おむつ、芳香剤
家具/インテリア:食器、掃除用品、机、椅子、棚、カーテン、ベッド
雑貨:文具、スポーツ/トレーニング用品

<製薬>
製薬:処方薬(新薬/ジェネリック)、医薬部外品

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

生活用品・製薬業界のメーカーは左から2つ目の「製造業」に含まれます。

製薬業界の研究職などは、10年スパンでの薬剤開発が必要となるため、人の出入が少ない(少なくしなければ開発業務を運営できない)業界というイメージがあります。しかし、最近になって開発費の高騰やジェネリック薬品の増加による利益圧迫などが原因で、大手製薬メーカーの人員リストラが何件か発表されています。製造拠点の海外流出も進みそうですから、製薬に関しては離職率が今後上昇するかもしれません

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

茶色太線が「製造業」の平均給与です。平均よりやや高めな業界です。

生活用品業界の給与水準は製造業の全体平均値がかなり当てはまる業界だと思います。ただ、イレギュラーなのは製薬の技術者でしょうか。特に、製薬の開発技術者は高い専門性が求められるため、報酬もそれに応じて高くなっているケースが多いです。

市場飽和する生活用品

トイレタリー製品や家具、雑貨はいわゆる「生活必需品」の類で、近年は安価な大量生産品が数多く販売されていますので、ブランドに拘らないのであれば「買いそろえること自体は安く可能」という状態になっています。つまり、国内市場はすでに飽和状態ということです。

国内市場が飽和している以上、販売拡大のためには海外に目を向けるしかありませんので、各社共通で中進国(1人当たりGDPが1万ドル近辺の国)での販売拡大を目指しています。人口の多い中国や東南アジア諸国が代表的ですね。

先進国のマーケットはどこも同じように飽和状態ですし、その国/地域独自のメーカーが既に存在していることが多いため、新規参入によってシェアを奪うのは困難です。今後の売上向上のためには、消費者の購買力上昇が見込めそうな中進国マーケットでシェアを確保する必要があります

この動きから考えると、最近の米中(トランプvs習近平?)貿易対立は悩みのタネかもしれません。海外展開は政治リスクと不可分なので、生活用品業界(に限らず海外との接触が多い業界)志望者の方は海外ニュースに対してのアンテナを高くしてください。

価格高騰問題のある製薬

生活用品と比較すると、薬剤は「購入者の命に関わる」という要素が大きいため、薬効があるのであれば価格面は「我慢する」という消費者が多いです。また、薬剤開発は意外とギャンブル性が高く開発コストの回収が難しい業界です。

こういった理由から、消費者が買わざるを得ないような新薬が開発できたなら、可能な限り価格を吊り上げたいと製薬メーカーは考えています。

しかし、健康保険の対象となる薬剤の価格については国/厚労省に決定権があります(いわゆる薬価制度)ので、価格設定についてメーカーと国がぶつかる薬価問題がたびたび発生しています。

最近では、小野薬品工業が開発した抗がん剤の「オプジーボ」の薬価が批判を呼び、薬価設定ルールの見直しに至ったというニュースが有名です(製薬業界志望の方は関連ニュースを必ず調べておいてください!)。

付加価値と価格のバランス

生活用品は大量生産によって廉価な製品が多く出回っていますから、何か新しい付加価値の付いた商品を発売しても、同ジャンルの他社製品と比較して大きく割高になってしまっては見向きもされません。

つまり、付加価値を付けるにしても、価格とのバランスが欠かせないのです。

「お手頃価格を維持しつつ、既存商品に消費者にウケる付加価値をプラスする」というのが商品開発のキモとなっているのです。

典型例としては、消臭剤や洗剤に対し「香り」の付加価値をプラスした商品が挙げられます。
P&Gの「ファブリーズ」。ファブリーズの発売初期の頃は消臭・除菌タイプの製品だけで、「クッションやカーペットなど洗いにくい布類の消臭ができる」というのが売り文句でした。その段階でもまずまずの売上は出していたようですが、その後、フローラルや柑橘系の香り付き製品を発売し、「香りを楽しむ」という分かりやすい付加価値をプラスしたことで、爆発的なヒットに繋がりました。

しかし、これが売れると分かったやいなや、業界各社が「消臭・芳香スプレー」に参戦してきました。その結果、価格帯としては1本300円~500円とお手頃なラインで各社がシェアを奪い合う「業界典型商品」の1つになってしまいました。

また、「香り」の付加価値は、衣類用洗剤にも飛び火しています。
昔と比べて「部屋干ししても臭わない」とか、「香り長持ち」といった点をアピールする衣類用洗剤が増えています。こちらも家庭用洗剤の価格を維持しつつ、「香り」の付加価値を付け加えて競争が進行中です。

このように「お手頃価格を維持しつつ、既存商品に消費者にウケる付加価値をプラスする」ことでリードし、飽和したシェアを奪い合うというのが生活用品業界の競争スタイルなのです。

意外とギャンブル性の高い薬剤開発

そんな生活用品業界と真逆な方向に行っているのが製薬です。

こちらは「数少ないヒット商品で、投資分を一気に回収する」というギャンブル性の高いビジネスモデルになっています。

そうなっている要因は「高額な研究開発コスト」です。
新薬の開発は、星の数ほど存在する化合物から有効物質をみつけるコストや動物実験&臨床試験のコストが不可欠であり、1種類の新薬開発において数百億~数千億円が必要と言われています。

さらに、薬剤の特許期間は20年(+5年の延長条項)なのですが、開発~販売開始までに10年程度の時間が必要ですので、実質的に独占販売で儲けられる期間は25年から10年を引いた15年程度です。その期間にコストを回収できなければプロジェクトとしては赤字になってしまうのです(期間終了後には安価なジェネリック薬品が出てくるため)。

「開発した100件中、臨床試験を突破できるのは10件。その10件が販売されて開発コストを回収できるのが3件」なんて言われています。『アタリ』の3件で『ハズレ』の97件分の費用をカバーし、なおかつ、利益を出すというハイリスクハイリターンなビジネスモデルが製薬業界では展開されています。

今後の展開<コスト削減の必要性>

生活用品と製薬、一見、真逆なビジネスモデルのように見えますが、両業界で元気のある企業には共通した特徴があります。それは「業界他社と比較して、明確にコスト面の優位性を持っている」ということです。

生活用品では、家具のニトリが挙げられます。

アパレル業界で生まれた「SPA」(企画開発から製造流通小売まで全てを自社内で完結させて中間マージンを最低限に抑える経営戦略。ユニクロが有名)をインテリア業界に持ち込むことによって、低~中価格帯で他社を大きく圧倒しています。他のメーカーと同程度のクオリティの家具を作っても、ニトリは他のメーカーより中間マージン分安くできるのですから、相対的に「お、ねだん以上」になるというわけです。

製薬では、ジェネリック薬品の製造を専門にする製薬メーカーなどがその極地と言えるかもしれません。

ジェネリック薬品の開発コストは新薬の開発に比べて断然安くなります。新薬の数百億円以上と言われる金額に対し、ジェネリック薬品は1億~数億円で済むと言われています。まさに言葉通り「桁違い」です。

加えて、新薬で儲けるビジネスにとって「天敵」となる薬価制度(単価を上げたくても上げられないため)も、ジェネリック側にとっては単価の下支えをしてくれる「強い味方」となります。研究開発コストを排除して生産に注力することで、製薬業の「ハイリスク」の部分を最小化し、安定的利益につなげているのがジェネリック薬品メーカーなのです。

生活用品・製薬業界はコスト面でボトルネックになっているポイントが業界内の企業で似通っているため、「他社よりも節約できるポイント」をみつけて節約することが大きな優位性に繋がるのではないでしょうか。

求められる資質や能力は?

生活用品・製薬業界で必要になるのは「広い視野と探求心」だと思います。

技術系専門職の方の性格傾向として、「興味範囲に偏りがあって、世の中の流行に無頓着」ということがあります。そういう技術者が集まってしまうと、マーケットの需要や、他社との比較というのが思考から抜け落ちてしまいがちですから、「自社や自分の研究範囲だけでなく、他社・他業界も含めて広い視野で物事を見る」ということができると、「貴重な社員」になれる可能性はグッと増します

コスト削減についても、自社の財務諸表を眺めて考えているだけではアイデアは浮かんできません。「今好調な企業はどんな取り組みをしているのか」「どんな新しい考え方を持っているか」という点を知って、調べることがアイデアの第一歩ですから、新しい商品やビジネス戦略を「耳にしたら調べる」という癖をつけましょう

競争の激しい大変な業界ではありますが、一般消費者にも認知度の高い商品を扱えるという「やりがい」のある業界です。「開発するにしても営業するにしても、多くの人に知ってもらえるモノを担当したい」という方は、生活用品・製薬業界も候補に入れてみてはどうでしょうか。

サービス業界編

サービスと言っても実際は色々ありますが、「働き方改革」や「介護」などホットなワードが出てきますので、ぜひ読んでいただければと思います。

サービス業種を細分化してみる

今回は少々強引なまとめ方をして、対象業界としています。「企業を15業界程度に分類する場合、1つの業界にするほどのサイズ感は無いが、他の業界に入れるのも難しいサービス業(第3次産業)」という条件に該当する企業が対象です。

具体例を以下に列挙しますので、見ていただいたほうが早いかもしれません。

人材関連:人材派遣業、人材紹介(転職エージェント)業
BPO関連:経営戦略/総務/労務/営業等のアウトソーシングやコンサルティング業
その他:介護業、警備業、冠婚葬祭業、理容・美容業、家事代行など
(※「教育」「小売」「飲食」「娯楽・レジャー」といったサービス業につきましては今後それぞれ個別に執筆予定です)

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

今回の対象業界は下記の通り広範囲に分散しています。
全体的に人の出入が多めな業界ですが、個々の数字は各自で確認してみてください。

(1)各種コンサルティング、労務・法務アウトソーシングなど
→右から7つ目「学術研究、専門・技術サービス業」
(2)冠婚葬祭、結婚相談、理容・美容、家事代行
→右から5つ目「生活関連サービス業、娯楽業」
(3)介護
→右から3つ目「医療、福祉」
(4)人材派遣、人材紹介、警備、営業・コールセンターのアウトソーシングなど
→一番右「サービス業(他に分類されないもの)」

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

水色の太線が上記(1)の業界、オレンジ色太線が上記(2)と(4)の業界、そして、緑色太線が(3)の業界の給与を表しています。

「学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業」と「医療、福祉」は55歳を超えても収入が落ちにくい業界に見えますが、これは一部の「士業」が含まれるからであると推測されます。前者には「弁護士、会計士、司法書士、税理士、社労士」、後者には「医師」といった定年制度を無視しやすい労働者が含まれているため、他業種に比べると55歳以降も収入水準が維持されやすいのです。

今回の対象業種の収入平均は概ねグラフ通りかと思いますが、実際は「ピンキリが激しい」ということは覚えておいてください。企業文化や雇用契約の条件によって、収入が極端に上下する業界です。

働き方改革

人材派遣業やアウトソーシング業にとって、いま最もホットなテーマが「働き方改革」です。

現在の日本では「労働力が足りない!」という意見と、「移民の受け入れは不安だ!」という声がせめぎ合っています。そのため、「国内労働者の働き方を柔軟にすることで、全体の労働時間を増やしたり、効率化を図る」ことを主眼とした「働き方改革」は折衷案として多くの国民に受け入れられています。(あくまで方向性の話です。個々の政策についての賛否は勿論あります)

しかし、実際問題として働き方改革がサービス業界(特に人材業界)にプラスかどうかは即答できません。「ビジネスチャンスの拡大」と同時に、労働者の権利向上による「企業側の人件費コスト増」が発生しうるため、ビジネスモデルによっては大きく損をする場合もあります。

この観点において重要なキーワードが「同一労働同一賃金」です。

「同じ仕事をしているなら同じ待遇にすべき」という考え方ですが、これによって「派遣社員」と「派遣”先”正社員」の待遇均衡をガチガチに強化するような法制化がされた場合、そのコストは派遣元企業と派遣先企業が負担することになります。結果的に派遣先企業が「派遣を止めて契約社員やバイトに切替えよう」と判断し、派遣業界にとって恐怖の「派遣市場縮小」に繋がる可能性もあります。

法律のさじ加減1つで大被害を受けたり、ビジネスチャンスが生まれたりする可能性がありますので、国会と各省庁(とくに厚労省)の動きには注意が必要です。

サービス業界に求められていること

サービス業界が直面している課題は大きく分けて「価値観の多様化に対応すること」と「既存リソースを活かして多角化すること」の2つに分かれます。

まず、前者については「価値観の多様化が止まらない」という現状がありますので、「普通品質を普通価格で提供する」というだけでは顧客離れは免れない時代です。明確にターゲットを定めて、利益の出るビジネスモデルに変えていくことが求められています。

また、価値観の多様化によって経営の不安定化が避けられませんから、リスクを分散するために「多角化すること」が求められています。既存のリソース(ハード・ソフト両面で)を活かして、利益を出す事業を複数作ることがサービス業の安定的経営には欠かせないのです。

価値観の多様化に対応する<冠婚葬祭業>

では、価値観の多様化による変化について、冠婚葬祭業界を取り上げます。

例えば、葬儀業界における「葬式の簡素化」があります。家族と近しい親族のみで執り行う小規模な「家族葬」や、通夜・告別式を行わずに火葬に直行する「直葬」が最近増加しています。故人の関係者が一堂に顔を揃えて、宗教的な儀礼に則って行われる従来型の葬式が「一般葬」と呼ばれて区別されることも多くなっています。

このようなご時世ですから、「一般葬を選択してくれないと赤字だよ!」というビジネスモデルでは生き残っていくことが難しくなってくるかもしれません。

逆に、結婚式は「二極化」が進んでいます。「結婚年齢の高齢化」と「少子化による両親(&祖父母)からの援助の集中」によって新婚カップルの予算が潤沢になり、「ハデ婚」を選ぶケースが増える一方で、「価値観の多様化&コスパ志向」によって「ジミ婚・ナシ婚」を選ぶケースもあり、両極に割れている状況です。

その他にも「リゾ婚(リゾート地で親族のみで挙式)」「フォト婚(写真だけ撮る)」「ファミ婚(家族重視の結婚式)」など、新タイプの結婚式が続々と出現しています。そういった多様な結婚式の出現に押される格好で、「90年代から00年代前半における一般的な普通の結婚式」と言うような「典型的中価格帯コース」は需要低下傾向だそうです。葬式と比較すると結婚式は意思決定をする人間が若いため、価値観の変化による影響がより極端に表れるのではないでしょうか。

このように、「顧客の中心となる年代の価値観」を見定めて、的確なサービスを展開していくことが冠婚葬祭業界では必須となっています。

既存リソースを活かした多角化<警備業界の介護参入>

次に、既存リソースを活かした多角化として警備業界の介護市場への参入についてのお話です。

少子高齢化の進む日本において、今後十数年で確実に売上パイの拡大が見込める「激レア業界」として介護業界は以前から注目を集めています。遊休地に介護施設を建てて運用益を狙う不動産業界や、安定的な売り上げ確保を目指す飲食・食品業界が介護参入していることは有名ですよね。

そして、今回のコラム対象業種の1つである警備業界からも介護参入が相次いでいるのです。

警備会社が介護業界参入をするのは、既存リソースの活用によって、明確な優位を築けるという目論見があるからです。それは「24時間監視+緊急出動」という警備サービスが訪問介護事業に応用できる点です。

「24時間監視+緊急出動」と言葉で言うのは簡単ですが、これを実現するには多額のコストとノウハウが必要です。「監視システムの開発」「集中監視センター・指令室の設置」「サービス提供エリア毎の拠点設置」「器具や車両の購入」「24時間稼働のための人員確保」「作業のマニュアル化と教育」などが必須となりますから、ゼロから構築しようとすると十億~百億単位のお金に羽がはえて飛んでいきます。しかし、警備業界であれば既存のシステムや設備を流用可能ですから、他業界からの参入企業や既存介護事業者よりも圧倒的安価で構築が可能になるのです。

この他にも、大企業が「その大企業ならではの利点」を押し出した介護サービスの展開を始めていますので、従来の「地元の中小規模事業者による介護事業」は「大企業にも対抗できる差別化」か「別の儲かる事業」が無ければ生き残ることが難しいでしょう。

こういった背景から「大企業が既存の中小介護事業者を買収し、ある地域の設備・人材・顧客を丸ごと飲み込む」という動きも増えてくるかもしれません。

求められる資質や能力は?

サービス業界ですから、サービスを提供する過程で必要となる「接遇スキル・ビジネスマナー」といった能力は最低限必要です。その上で、この業界で「活躍するため」に有用なスキルは「データに強いこと」だと思われます。

サービス業界は「消費者・顧客の価値観」や「労働者のクオリティ・モチベーション」といった形の無いものによって大きく利益が上下します。形の無いものを正確に評価することは困難ですが、システム化が進み、データ分析の技術が向上してきた現在においては「データからおおよその傾向を掴む」ということが可能になっています。

売上高・受注件数・客単価、電話やメールでの問い合わせ件数、新規顧客の定着率といった受動的なデータを収集・分析すること。そして、時には顧客アンケートやマーケティングなど能動的なデータ取得を行って、データ分析することで、「顧客が何を重視しているか」にアタリを付けることが可能なのです。加えて、従業員毎にデータを分析することで、「労働者のスキルレベル」や「どんなスキルが利益に直結する」といったことも分かるかもしれません。

効率の良いビジネスを構築するために「データを集めて分析する能力」が求められると言えるでしょう。

サービス業界は同業界・同業種内の各社でサービス内容や企業マインドがバラバラに異なる業界です。そのため、企業分析の際は「今展開しているサービスとその独自性」を確認することに加え、「人材の育成」と「変化に適応する」といったマインドを持っているかどうかもチェックしましょう。積極的なマインドを持つ企業があったならば、説明会に参加しても損は無いと思います!

飲食業界編

飲食業界は学生の皆さんにとって身近な業界ですし、その他サービス業に通ずる観点も多いですから、志望者の方はもちろん、エントリー予定の無い方も、ぜひご一読いただければと思います。

飲食業種を細分化してみる

“食品”業界との区分けが難しい業界ですが、本コラムにおいては「店舗を構え、その店舗で調理を行って飲食物を提供する」というサービス形態の企業を対象とします。分類は以下の通りです。

飲食店:和洋中レストラン、喫茶店・コーヒーショップ、居酒屋、ファーストフード店など
デリバリー:デリバリーサービス(ピザ、寿司、弁当)、ケータリングなど
テイクアウト:惣菜屋、弁当屋など

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

飲食業界は「宿泊業、飲食サービス業」に該当します。「右から…」と言うより、「一番背の高い縦棒グラフ」と言った方が早いかもしれません。

グラフの通り、全業種の中で頭1つ抜けて労働者の出入りの激しい業界です。入職率・離職率ともに3割超ですから、「年始に居た従業員10人中3人が1年以内に離職・入職で入れ替わる」という状況です。

飲食業界は、非常に多種多様なサービスが展開されており、商品メニューや価格設定は企業によってバラバラですし、待遇や労働環境面も様々です。しかし、求められるスキルに似通っている部分はありますから、「労働者が自分の好みにあう企業や職場を探して業界”内”を転々とする」という傾向があるのではないかと筆者は考えています(「飲食企業を離職して、別の飲食企業に入る人が多い」という推測です)。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

紫(パープル)色の太線が「宿泊業、飲食サービス業」の給与を表しています。

残念ながら、数字としては全業種の中で最も低い業界です。ただ、総務省の「平成29年就業構造基本調査」を確認すると、「宿泊業、飲食サービス業」は全業種の中で最も「非正規雇用者」の割合が高い業界ですので、全体数値が押し下げられているのは事実です。

ちなみに、「宿泊業、飲食サービス業」の非正規従業員の割合は62.3%。全業種全労働者に占める非正規の割合は約32%ですから、「非正規が圧倒的に多い業界」と言っても過言ではないでしょう。

とにかく人手が足りない!

飲食業界は人手不足が深刻化しています。

この人手不足が社会問題に発展したのが、数年前に話題となった「バイトの反乱」です。あの一件は飲食店の人手不足が根本原因となっており、人手不足による仕事量の増大に対し「バイトスタッフの堪忍袋の緒が切れた」ことで起きた事態でした。

統計データ上でも人手不足は顕著です。厚生労働省の「平成29年上半期雇用動向調査結果」によると、平成29年6月末時点における未充足求人数の最も多い業界は「宿泊業、飲食サービス業」で26万人となっています。

この人手不足を補うために、「働き方改革」を企業内で推進することが求められます。飲食業は他の業種の休憩・休息時間が稼ぎ時となるため、他の業種と「仕事量のピークタイムがズレる」という特徴がありますから、複数の仕事を掛け持ちするような労働者や短時間パートタイマーを効率的に業務にアサインしていく仕組みづくりが必要となるのではないでしょうか。

また、そういった副業的な労働力やパートタイマーを活用しようとすると、どうしても1店舗あたりのスタッフ数は増加します。スタッフ数が増加すると、サービス品質を均一に保つための「教育」や「連絡事項の共有」という負担が大きくなりますので、いかに効率的な「教育」や「伝達」ができるかが経営安定化のカギとなるでしょう。

外食・中食・内食について <ライバルはコンビニ?>

飲食業界を分析する切り口を2つ紹介します。

まず、飲食・食品業界を分析(分類)する際に用いられる切り口として、提供するサービス・商品を「外食・中食・内食」の3つに分けるという方式があります。

「外食」は「家の外で食事をする」という意味で、基本的に「外食=飲食店」という理解でOKです。「中食」は「買って来て家やオフィスで食べる」を意味しており、「総菜・弁当+デリバリー」がこれに当てはまります。最後の「内食」は自炊のことです。

上記3分類の中で、ここ最近伸びているのは「中食」です。単身世帯や共稼ぎ世帯の増加によって、自炊して食べるよりもお弁当や総菜を買ってきて食べることが多くなり、「中食化」が進んでいます。「テイクアウト可能」というお店が増えているのも、これが背景となっています。

ただ、この「中食化」を引っ張っているのは、昔から存在する飲食業界企業ではなくコンビニ業界です。お弁当、小分け総菜、麺類、丼もの、サンドイッチといったコンビニで販売されている中食商材は日増しに多彩になっており、飲食業界にとって脅威の存在となっています。

特に、同種商品を扱っている飲食店にとっては、直接的な利益の奪い合いとなる「商売敵」と言えるでしょう。「コーヒーショップ対コンビニコーヒー」などは明確に「ガチンコ勝負」となっていますよね。

こういう状況ですから、飲食業界には「コンビニ商品とは違う付加価値」の創出が求められています。安さや均一さという点においてコンビニと勝負するのは分が悪いですから、「トッピングや大盛小盛への対応」「調理過程を魅せる演出」「店舗の居心地の良さ」といった点で各社は対抗しようとしています。

「消費者を惹きつける独自性」をどうやって作り出すか腕の見せ所といったところです。

直営店とフランチャイズ店について

飲食業界を分析する際にもう1つ重要な切り口があります。それは「直営」と「フランチャイズ(以降『FC』と略)」という出店形態です。

参考までに、出店形態が極端に直営もしくは FCに傾いている有名チェーンを挙げておきます。

店舗のほとんど(もしくは全て)が直営というケースでは「すき家」「スターバックス」「サイゼリヤ」などが代表的です。

逆に店舗のほとんどがFCなのは「モスバーガー」「CoCo壱番屋」「コメダ珈琲」などが挙げられます。

さて、本題に入ります。

就活において(特に企業分析時)、頭に入れておくべき「出店形態によって生じる違い」は以下の2点です。
①財務諸表に表れる数字の違い
②入社後に担当する仕事の違い

まず、①の『財務諸表に表れる数字の違い』について説明します。
直営店は企業が直接経営していますので、直営店舗の売上や利益はチェーン本体企業の業績にそのまま加算されます。対するFC店はFCオーナー毎に独自採算ですから、FC店の売上や利益はチェーン本体企業の業績に直接加算されません。ただし、FC店に課すロイヤリティ(商標の使用料金・FC加盟料金のこと。ロイヤ”ル”ティとも言う)やコンサルティング料という収入が見込めます。

このため、直営比率が高いほど、売上高は高くなりますが、利益率は低めになる傾向があります。売上と共に材料費や店舗スタッフ人件費などが加算されるため、飲食業界の「薄利多売」傾向が強く出るのです。逆に、FC比率が高いほど、売上高は低く、利益率は高めとなります。

こういった違いを意識せずに、「御社の方がA社よりも利益率が高くて優良企業だと思いました!」などと面接で言ってしまうと、「知識の浅い学生」と思われかねませんので、要注意ですよ。

次に、②の『入社後に担当する仕事の違い』についてです。
直営重視とFC重視の企業では、正社員に与えられる仕事が違います。当然ですが、直営重視の企業であるほど「直接的な店舗運営」が主任務となります。実店舗に配属され、現場経験を積むことが求められる企業もあります。

逆に、FC重視の企業ほど「FC店のコンサルティング」という色合いが強くなります。チェーン本部とFCオーナーは個別に独立した企業・法人ですから、チェーン本部の社員は「FC店の運営・営業コンサルティング」や「FC店がチェーンのルールを守っているかの監査」といった仕事を与えられることが多いです。

FC重視傾向のある企業の面接にて「お店でガツガツ頑張ります!」などと言ってしまうと、「ウチはそういう仕事じゃ無いよ」と即終了コースになりかねませんので、必ずチェックするようにしてください。

求められる資質や能力は?

飲食業界で必要とされる能力はコミュニケーション能力の一部である「説明力(伝わる力)」だと思います。

この能力の必要性は直営重視企業であろうとFC重視企業であろうと変わりません。直営店に配属された場合は、多数の店舗スタッフ(最近は外国人の方も増加しています)に「教育・指導」することが求められますし、FC店のコンサルティングにおいてはFCオーナーや店長クラスに対し「アドバイス」をすることが求められます。

どちらのケースにおいても、「相手の考え方・理解力に適した、伝わる説明ができること」が必須なのです。

飲食業界において重要となるのは、ただ「伝”える”」のではなく、「受け手の考え方・理解力を考慮し、会話の中で理解度を確認しながら、相手に『伝わる』説明や伝達ができること」であると筆者は考えています。

待遇面に一種の「厳しい現実」があるのは否定できない業界ですが、衣食住の「食」という生活基盤を提供できる点は大きな魅力ですし、やりがいを感じられる業界だと思います。

また、独立開業に繋げるという意味では非常に優れている業界でもありますので、「将来の脱サラ」なんかを考えている方は飲食業界企業の説明会に行ってみるとよいのではないでしょうか。

娯楽・レジャー業界編

この業界は「どうせ働くなら自分の好きな物を扱いたい」という考え方(それ自体は至極健康的ですよ!)から学生が集まりやすく、非常に競争率が高い業界です。

娯楽・レジャー業界を細分化してみる

今回の娯楽・レジャー業界は「余暇を楽しむ」ためのサービスを提供している幅広い業界が対象です。おおまかに分類すると以下の通りです。

旅行関連:旅行会社、ホテル・旅館など
レジャー施設:テーマパーク、スポーツクラブ、カラオケ、ゴルフ場など
関連メーカー:玩具メーカー、ゲームメーカーなど
その他:公営競技団体(JRA,JKA,日本モーターボート競走会など)

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

今回の対象企業は下記の通り、グラフ4か所に分散しています。

(1)左から2番目「製造業」
→玩具メーカー
(2)左から2番目「製造業」と3番目「情報通信業」の両分野に跨る
→ゲームメーカー
※ハードは製造業、ソフトは情報通信業に分類されます
(3)右から6番目「宿泊業、飲食サービス業」
→ホテル・旅館
(4)右から5番目「生活関連サービス業、娯楽業」
→旅行会社、テーマパーク、スポーツクラブ、カラオケ、ゴルフ場、公営競技団体

製造業色の強い玩具・ゲームメーカーなどの離職率・入職率は低めですが、広義のサービス業に含まれる(3)(4)は企業数や業態が多種多様で、人の出入りが激しい業界と言えるでしょう。

ただ、人気テーマパークや公営競技団体の総合職は就活競争率が高い上に「真にやりたいことができるのはココ”だけ”!」という人が多いため、離職率はかなり低い傾向にあります。

例えば、東京ディズニーリゾート運営元のオリエンタルランドは、大卒総合職の3年以内離職率が3~6%という超低水準企業です。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

上記(1)及び(2)の業界は茶色太線「製造業」と水色太線「情報通信業」、(3)は紫色太線「宿泊業、飲食サービス業」、(4)は緑色太線「サービス業」にあてはまります。

あまり怖い印象を与えたくはないのですが、「夢を追い求める仕事」という特色上、「給料が安くてもやりたい」という人が集まりやすく、給与水準が上がりにくい傾向は否定できません。

「やりがい」と「報酬」のバランス面に注意して、企業分析をするようにしてください。

IRによるビジネスチャンス

この業界に関する大きな時事ニュースとして「IR法(Integrated Resortの略で統合型リゾートのこと)」があります。俗に言う「カジノ法案」のことです。

IRは展示場、ショッピングモール、ホテル、レストラン、劇場、そしてカジノなどを取り揃えた複合型娯楽施設のことを指しており、現在は初回(最初で最後になる可能性もありますが…)の認可区域3ヵ所の選定に向けて候補地を募っている段階です。東京(お台場)、神奈川(山下埠頭)、大阪(夢洲)あたりが有力と言われています。開業時期は2025年頃になりそうで、「東京オリンピックに間に合わせる」という話は消滅しています。

国内初となる企業による賭博事業は大きなビジネスチャンスですし、賭博以外の多種多様なIR関連サービスに切り込むことで利益拡大の余地があります。

顧客”数”の確保が急務!

娯楽・レジャー業界は、「一定の設備コストが必要」&「客単価を上げにくい」という2つの特徴を持っています。

ゴルフ場などが分かりやすいですが、「客が少なくなったから10~18番ホールは閉鎖しよう」とはいきませんし、「客が2割減ったから、利用料を2割増しにしよう」というわけにもいきません。固定費削減や価格転嫁が困難な以上、顧客”数”を確保しないと経営が継続できないのです。

こういった特徴は少子高齢化・人口減少社会、あるいは趣味の多様化などが進む現代において、当然ですが「大変不利である」と言わざるをえません。そのため、業界各社は必死になって顧客数の確保を目指しています。「おひとり様対応」であったり、「訪日外国人の取り込み」などを通じて、新たな顧客層を確保していくことが急務となっているのです。

口コミサイトと向き合う

現代の娯楽・レジャー業界はインターネット口コミサイトと切っても切れない関係になっています。

「口コミ評価」と「売上額」の直結度合は年々高まっており、安定的な企業経営のためには積極的に「口コミサイトでの評価を上げる」という努力が不可欠になっています。(リピーター顧客はまだしも、新規顧客の数は口コミサイトの評価によって大きく上下します)

口コミサイトの評価を上げるためには、「従来よりも広い視野に立って、効果的な対策を打つこと」が重要です。

例えば、ホテル業界の口コミでたまに見かける評価減点パターンとして、「近隣の(自治体が管理している)砂浜がゴミだらけだ!」「ホテル1階のコンビニ店員の態度が最悪」といった理由で「ホテルの評価が下がる」というパターンがあります。

こういった敷地外・管轄外の悪印象に巻き込まれると「勘弁してくれよ!ウチのせいじゃないよ!」と言いたくなる気持ちは非常によく分かりますが、文句を言って停滞していては、将来の売上減すら招きかねません。

ですから、「自治体やコンビニ業者と協力関係を結んで、改善に向けて相談してみよう」と、企業や店舗の枠にとらわれない取り組みを始めるこが必要になります。

定番シリーズ商品で儲ける玩具・ゲーム業界

つづいて、玩具・ゲーム業界の商品戦略についてのお話です。

玩具・ゲーム業界は「日々革新的な製品が市場に出て、激しい競争をしている」というイメージを持たれている業界だと思います。そのイメージ自体は間違っていませんが、実際に業界各社の売上の核となっている主力商品は「定番シリーズ商品」がほとんどであるという現実は知っておくべきです。

例えば、一般社団法人日本玩具協会が毎年開催している「日本おもちゃ大賞」という賞があるのですが、その中で玩具の売上実績を主な審査基準とする「ヒット・セールス賞」という部門は、ほぼ毎年、バンダイの「仮面ライダー変身ベルト」が受賞しています。色々な製品が日々発売されているにも関わらず、「ライダーベルト」の牙城を崩す玩具はそうそう出ないというワケです。
(「日本おもちゃ大賞」は玩具トレンドを理解するのに最適な賞ですから、玩具メーカー志望の方は是非検索して近年の受賞・ノミネート玩具をチェックしておいてください!)

ゲーム業界にしても売上上位はシリーズものが多いです。

2018年のゲームソフト売上ランキング上位(10月中旬時点)は「モンスターハンターワールド」「スプラトゥーン2」「マリオカート8DX」「星のカービィ スターアライズ」とシリーズ作品ばかりで、トップ10の中に「新規IP(※)」と呼べるような作品はありません。
(※新規IP:従来の知的財産(Intellectual Property)を使用せずに作られた完全新作のことを指します。ただ、移植作品(PC→ゲーム機等)を新規IPに含めるかどうかは判断が分かれます)

玩具・ゲームは非常に「売上予測」が難しい商材です。語弊を恐れずに言えば、「安定的な企業経営」との相性は悪いと言えます。そのため、「完全にゼロから新規製品を開発する」という戦略をとりすぎると、リスクばかり抱え込むことになりますから、結果として「過去の販売実績から、売上予測が比較的立ちやすいシリーズ商品」が商品開発の主軸となるのです。

この業界を志望される方はこういった現状を理解し、「斬新・革命的なアイデア」だけでなく「定番シリーズで長く利益を生み出す知恵」も磨くようにして欲しいです。

求められる資質や能力は?

娯楽・レジャー業界にて必要とされるのは「熱中モード・冷静モードの切替能力」だと思います。

娯楽・レジャー業界は「喜怒哀楽」の中の「喜・楽」を売ることで儲けている業界ですので、開発したり提供したりしている自分たちが「これは楽しいだろう…。快適だろう…。」と実感できるサービス・商品を用意することは最低限必要です。

しかし、「消費者も楽しいと感じてくれるのか?」「価格に見合っているのか?」「他社の類似商品や競合サービスと比べて遜色はないか?」といった点については、「開発・提供側の思い入れ」を排除して、客観的に評価しなければなりません。

開発側・提供側の自己満足にならぬためには「開発・企画する時は自分も熱中する」&「評価する時は一歩離れて冷静に客観視する」という熱中モード・冷静モードの切替が大事になってくるでしょう。

娯楽・レジャー業界は「好きなことを仕事にする」という価値観とダイレクトに結びつく業界ですので、就活においては非常に人気度の高い業界です。有名テーマパークや有名玩具メーカーなどは軒並み競争率100倍超と考えた方がよいでしょう。

ただ、いわゆる「学歴フィルター」は弱めの業界です。

「多様な価値観を持つ社員をそろえたい」「面白いことを発案できる人が欲しい」という考えから、人柄や思考力をより重視して採用しているように思います。そのため、ESや面接で他の業界とは一風変わった質問をされることも多いですので、志望される方は「過去問対策」を欠かさないようにしてください。

アパレル(衣料・装飾・化粧品)業界編

大学生に対して身近な商品を扱っているという点では、食品業界と並んで双璧の存在かもしれません。

アパレル業界を細分化してみる

今回は、人間の「装い」に関する幅広い分野を対象としています。扱っている商品ジャンルで分類すると、概ね以下のようになります。

衣服:シャツ、ズボン、ジャケット、スカート、下着など
装飾・雑貨:靴、鞄、ジュエリー、眼鏡、革製品など
化粧品:香水、口紅、化粧水、ファンデーション、マニキュアなど
部品類:生地、ボタン、ファスナーなど

この業界は「製造」と「小売」という2つの両輪から成り立っており、「製造」と「小売」の両方を自社で行う企業もあれば、どちらか一方のみでビジネスを展開している企業もあります。

「製造」と「小売」では、大卒総合職社員に求められる仕事が違ってきますので、志望者の方は「どういった仕事を任されるのか」という点は欠かさずチェックするようにしてください。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

先述の通り、この業界は「製造」と「小売」の二面性がありますので、こちらのグラフでは左から2番目の「製造業」と5番目の「卸売業・小売業」が混ざり合っている企業が多いと思います。

どちらのグラフにおいても、離職・入職率は平均~やや低めと言える業界です。ただ、この業界は機械・重工業などと比べると技術知識・業界知識の汎用性が高く、競合企業数も多い傾向があるため、待遇や職場環境を求めて離・入職される方はグラフ上の数字より多めではないかと思います。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

アパレル業界は先ほどのグラフと同じく、緑色太線の「製造業」と赤色太線の「卸売業、小売業」に含まれます。

「卸売業、小売業」は非正規従業員の割合が多いため、こういった給与統計においては平均を下回る数字が出てしまいます。薄利多売化が進んだ結果、従業員の所得面が伸びにくい環境であると感じます。ただ、製造にしろ小売にしろ「能力・センスの違いが数字として出る」業界ではありますので、実績に見合った待遇を重視される方には向いているかもしれません。

若者が服にお金を使わない!?

アパレル業界を悩ませている課題として「若者の衣料品支出額の低下」があります。

参考として、消費者庁の「平成29年度消費白書 第1部 第3章 第1節(2)若者の消費支出について」から「1か月当たりの品目別平均支出額(洋服)」のグラフを引用します。
(30歳未満の単身世帯の若者が、1ヵ月にいくら衣料品に支出するかを表したグラフです)

99年と2014年の消費額を比べると、男性は約58%、女性は約45%の大幅減となっています。高齢世代で支出縮小が進むならまだしも、将来の消費の中心である30歳未満世代において支出縮小が起きるのは「危険な兆候」と言わざるを得ないでしょう。

消費の縮小が起きたのは、「①不景気で消費者の消費全体が落ち込んだ」という要因と「②ファストファッションが登場し、平均単価が下落した」という2つの要因が同時期に噛み合ってしまったことが大きいと筆者は考えています。

上記、消費者庁のレポートにおいても触れられていますが、2000年頃から若者の家計消費合計額は下落傾向です。しかし、住居費・光熱費・通信費・医薬品費などは簡単に減らせるものではありませんので、食費・衣料費などにしわ寄せが来ることになります。

そんな時代の流れに合致する形で、従来より安価なファストファッションが登場したため、衣料費が相対的に「コストカットが容易な分野」になってしまい、衣服にかける金額が劇的に減少しているのではないでしょうか。

今後もこの傾向は続くと予想されますので、アパレル業界は「若者の新しい消費スタイルと共存できるビジネスモデルの構築」や「若者が衣料費を増やしたくなる仕掛け」が課題として突き付けられているのではないでしょうか。

新しい売り方~原価公開~

若者に対する「新しい衣料品の売り方」の例として、2,3年前から話題になっている「原価公開」という手法があります。この売り方は、アメリカの新興アパレル企業であるEVERLANEが始めた販売方式で、商品原価を公開することで「お客様に納得して買ってもらう」ことを目標にしています。

オンラインストアの各商品ページに、生地原価、部品(ボタン・ファスナー等)原価、縫製費、関税額、輸送費といったコストを明示し、「この商品の原価は何ドルか」「何ドルがEVERLANEの利益になるのか」といったことが分かるようになっているのです。

EVERLANEは縫製工場での製造過程を映した写真なども多数アップしており、徹底して「透明性」のアピールを重視しています。旧来のメディアによる「強引なブームの生成」や「誇大広告」に対して反感を抱いている消費者にとって、こういった透明性を確保する売り方は「納得感」「安心感」を与えることに繋がり、売上は順調に増加しているようです。(ただ、この売り方が長期的に成功するかという点について、筆者は懐疑的に見ています。消費者の値下げ欲求を過剰に刺激しかねないと懸念しています)

消費者の価値観は多様化しており、個々人が自分好みの衣料品を買うような時代になりましたが、それゆえ「金額に見合ったものを買う」という「コスパ指向」が唯一共通の価値観として残った形になっており、存在感を増しています。

消費者にとって魅力のある商品を作ることは勿論大事ですが、「売り方・見せ方」も含めて、お客様の満足度や納得度を高めることが重要になってくるのではないでしょうか。

海外に販路を拡大する化粧品

次に、化粧品業界を取り上げます。

国内の化粧品業界はバブル崩壊以降(衣料品と同じく)不振でしたが、ここ数年は海外輸出の増加に伴って好調に転じています。(海外輸出額は2012年には1325億円でしたが、2018年は8月時点で約3400億円と年間5000億円を超える勢いです)

しかし、「輸出先地域がアジア、とりわけ中国に偏っている」という懸念も生まれています。中国向け(香港含む)が全体の6割、中国以外のアジア向けが全体の3割を占めており、アジア圏の政治・経済状況が売上や利益に直結してしまうというリスクが生じているのです。

そういったリスクは化粧品業界も重々承知ですから、アジアだけでなく欧米でも販売を拡大したいと考えています。しかし、裕福な消費者の多い欧米マーケットには既に欧米有名ブランドがひしめき合っていますので、そこに割り込んでシェアを獲得するのは容易ではありません。

そんな状況を打破しようと、資生堂は2016年にDOLCE&GABBANA(以下D&Gと略)とライセンス契約を結びました。イタリアの高級ブランドとして知名度の高いD&Gの化粧品の生産・販売までを独占的に手掛けるライセンス契約であり、D&Gブランドをテコにして海外売上を拡大していく狙いがあるようです。

「自社ブランド名が浸透していないのであれば、ライセンス契約や企業買収を駆使して他社ブランドを使えるようにすればいい」という戦略と言えるでしょう。シャープを買収した鴻海精密工業の思考回路と似ていると言えるかもしれません。

ただ、2017年期末決算と2018年上半期決算を見るに、「日本円換算で欧州売上は拡大しているが、利益は拡大していない」という状況で、当初のインパクトほど上手くいっているワケではないようです。欧米の有名ブランドとのライセンス契約となるとライセンス料も高いでしょうし、広告宣伝費も途上国とは比較にならない水準でしょうから、「儲かる事業」に育てあげるにはまだまだ工夫が必要です。

アパレル業界は「技術の差」が「商品価値」に直結しにくい業界です。

そのため、他の業界と比較して「ブランド」の重要性が相対的に高いと言えます。今後も「ブランドをどう利用するか」「ブランドに対していかに価値を感じてもらうか」といった点が利益拡大のカギとなるでしょう。

求められる資質や能力は?

アパレル業界で必要とされる能力は「発信力」ではないでしょうか。

この業界は、非常に競合相手の多い業界です。Tシャツを1枚買おうと考えただけで、実際に購入候補となるブランドの数は両手で数え切れません。ショッピングモールに行けば、それこそ数十の販売店がしのぎを削っているのが目に見えて分かります。

このような業界の特徴がありますので、売上を向上させるためには消費者の注目をいかに集めるかという点が非常に重要です。だからこそ、「発信力」が必要なのです。

「ブランド価値をアピールする」にも「店舗で来店客に買ってもらう」にも、「魅力を伝える発信力」がモノを言います。「良い商品を作っていればいつか報われる」という考え方は、ある種の日本人的な美学なのかもしれませんが、その「良い商品である」という事実も発信がなくては伝わりません。

アパレル業界で能動的に生き残っていくためには、「モノづくりだけに力を入れて、販売は受動的」というのではなく、自ら進んで「発信していく」ということが不可欠だと思います。

国内のアパレル企業では今後、「海外シェアの拡大」と「国内市場の再興」という2つの課題に取り組んでいかねばなりません。

こういった経営課題の成否を分けるのはマーケティングだと思いますので、「マーケティングに興味がある。実際のグローバルマーケットにおいて、様々なマーケティングを試行錯誤してみたい!」と考えていらっしゃる方には超オススメの業界です。

小売・卸売業界編

「安く仕入れて高く売る」というシンプルな原則は不変ですが、その原則をいかに成し遂げるかという点については、個々の企業で独自性が強く出る業界です。

小売・卸売業界を細分化してみる

小売・卸売業界は、基本的に自社の生産設備は持たず、他社が製造した製品を仕入れ、消費者あるいは別の業者に販売することで利益を生み出しています。

大きくは以下の3つの業種に分かれます。

小売:スーパー、百貨店、家電量販店、ドラッグストア、コンビニなど
卸売:食品卸、酒類卸、生活用品卸、金属卸、資源卸など
商社:総合商社、専門商社(資源、機械、衣服など)

②卸売と③商社の違いが分からない!という方がいらっしゃると思いますので、簡単に説明します。

製造メーカーと小売業の間に入って商品流通の仲介を行うのが「卸売業」。商社は「卸売業」の中の1つの業態で、主に流通/配送網を持たない企業を指すことが多いです。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

この業界は、その文字通り、左から5番目の「卸売業、小売業」に該当します。

ご覧の通り、小売業と卸売業を合わせると離・入職の頻度については平均的と言えるのですが、実際は小売業の人材異動がもう少し激しめで、卸売業は逆に低いかと思います。卸売業はBtoBで、小売業より専門化する傾向がありますので、転職は少ない傾向にあります。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

小売・卸売業界は、赤色太線です。

「卸売業、小売業」は、非正規従業員の割合が多いため、給与関連の統計においては不利と言える業界ですが、実際は個々の企業によって違いが大きく、卸売・商社の中には20代で年収1000万に乗るような高給企業も多いです(勿論求められる仕事水準も非常に高いです)。また、1つの企業内においても、給与水準のバラツキは激しい印象があります。

小売にしても卸売・商社にしても、「誰がどれだけ売ったか・利益を出したか」が数字で出やすい業界なので、成果が報酬や昇進に繋がりやすいのです。

EC化によって明暗が分かれる

インターネットの登場によって、小売業界・卸売業界は大きく変化しています。

特に、従来から存在する小売企業はインターネット取引の増加によってドンドン厳しい状況に追い込まれています。参考に経済産業省の「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」から、商品ジャンル別のEC(電子商取引)化率の表を引用します。

※表中の市場規模はEC市場の取引額を表しています。

この表を見ると一目瞭然ですが、「最近不調である」というニュースを聞くことが多いのはEC化率の高い商材を扱う小売・卸売企業です。

②の家電を扱う家電量販店、③の書籍を扱う書店、⑤雑貨・家具や⑧事務用品・文具といった商品を扱う百貨店などは、「赤字決算」だとか「〇〇店が閉店」なんてニュースが残念ながら多いです。

(ちなみに、③のEC市場規模には電子書籍や音楽・映像のネット配信は含まれていません。紙の書籍や音楽CD、映画DVD・ブルーレイのEC取引のみ計上されています)

しかし、従来型の小売・卸売業界が苦戦する一方で、EC化に上手く乗ることで利益を拡大する企業も存在します。例えば、業者専用の衣料・雑貨等卸売サイト「スーパーデリバリー」を運営する株式会社ラクーンなどが挙げられます。

「売れ筋の商品や利幅の大きい商品に特化する」という経営戦略をとりがちな卸売業界にて、「ネット経由で独自性のある商品を卸売する・少量多品種に力を注ぐ」というスタイルを掲げることで差別化に成功し、2016年には東証一部上場企業となりました。

ECサイトは実店舗と違い、距離的な制限がありませんので、Web上の全ての店舗が競合店になり得ます。そのため、顧客の目を引く独自性を出すことがEC化を乗り切り、利益を確保するカギとなるでしょう。

ビジネスモデルを変えて「問屋無用論」を乗り越える

まずは、卸売業界の方から見ていきます。

卸売業界を考える際に、ここ数十年使い古されてきたキーワードとして「問屋(卸売・商社)無用論」という言葉があります。意味は字面そのままで、「問屋・卸業者が要らない時代が来るだろう」という論です。

この論が世に出始めたのは高度経済成長期の頃(1960年代)です。

小売店の大型化や大資本化が進み、民間の宅配業者も増加してサービスの質も向上してきたことから、「小売業側が大規模になり、流通網を自前で整備して効率化を図っていけば、中間の問屋は不要になるだろう」という推測をしたわけです。

その後もこの論はマイナーチェンジを繰り返し、70年代のオイルショック、80年代の円高、90年代以降のIT化などによって「問屋は消える」と主張され続けてきました。しかし、2018年現在において問屋はいまだ存続していますし、一部卸売業者や商社は好調なくらいです。

例えば商社、とくに5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友商事、丸紅)の2018年3月期決算はどこも絶好調で、三井を除く4社で年間最高益を更新しました。主力商品である資源の価格が安定的だったのが主要因ですが、各社が手掛けている新しいビジネスが利益を挙げている点も見逃せません。

コンビニに投資したり(三菱→ローソン、伊藤忠→ファミマ)、電気小売に参入したり(丸紅)、ブラジルで農業を始めたり(三井)、ケーブルテレビに投資したりと(住商→J:COM)、様々なビジネスシーンに食い込んで行くことで利益を上げるビジネスモデルを築いています。

結局のところ、「問屋無用論」は当たっていたのか外れていたのかと言うと、「割と当たっていたのではないか」と筆者は思います。

無用論が当たっていたからこそ、問屋(卸売・商社)は危機感を持って自らのビジネスモデルを変容させ、生き残ってきたのではないでしょうか。

問屋(卸売・商社)というビジネスは、その特性上「儲け話」を収集することに長けていますので、今後も時代に適応してビジネスモデルを変革していける「”元”問屋」は生き残って利益を出していくでしょうし、適応に乗り遅れた問屋はドンドン厳しさが増していくのではないかと思います。

大規模投資と切っても切れない小売の関係

次に小売業界を見てみましょう。

小売業界は、大規模な投資と切っても切れない関係にあります。

新規開店1つとっても、土地確保、店舗・倉庫建設、設備購入・設置、スタッフ雇用、商品仕入れ…と、実際に商品を販売して売上を計上するまではひたすら投資&投資です。さらには、ネットショップの開設、流通網の再構築、プライベートブランド開発まで最近は要求されます。これまた大規模な先行投資の嵐です。

こういった特徴がありますので、1つ選択を間違えると投資金額が負債化して一気に経営が悪化するという怖い業界でもあります。

小売業は移り気な消費者を直接相手にする商売ですから、非常に変化のスピードが速いです。加えて先進国の小売業界はどこもデフレ&過当競争で利益率も伸び悩んでいますので、変化に乗り遅れて商品価格やサービス面で競合店に劣ってしまうと他店に顧客を奪われてしまい、一気に経営が悪化します。それゆえ、「投資をせねば長期的に生き残れないが、投資に失敗すると即致命傷になる」というジレンマが悩みのタネとなっているのです。

また、このジレンマは中小規模の小売業者が淘汰されている原因の1つでもあります。

ハイリスクな投資を連続させねばならない環境は経営体力の無い中小企業にとっては負担が大きいのです。今後もこの流れは続くでしょうから、小売店の大規模化・大資本化はまだまだ進行していくように思います。

求められる資質や能力は?

小売・卸売業界で必要とされる能力は「コミュニケーション能力」です。

それも、ただのコミュニケーション能力ではなく、「異文化に溶け込めるコミュニケーション能力」が必要ではないでしょうか。

小売・卸売業界は社外の人間とのコミュニケーション機会が多かったり、各拠点非正規スタッフとのチームワークを求められる場面が多い仕事です。そのため、一般的な事務系の内勤職に求められる「社内総合職のチーム内でのコミュニケーション能力」より「多種多様なバックボーンを持つ集団の中で、チームワークを構築・遂行できるコミュニケーション能力」が求められるのです。

特に、卸売業界で海外仕入れなどを担当するのであれば、それこそ異国の文化や商習慣に合致したコミュニケーションが求められますので、「場面に応じてキャラを切り替える」というようなことができると大きな武器になると思います。

小売・卸売業界は時代のトレンドを捉え、取捨選択をしながらビジネスモデルを変容しつつ、適応していくことがこれからも求められるでしょう。

「商い」の本質に近いところで勝負したいという方にはオススメの業界です。

物流・運送業界編

「モノや人を運ぶ」ことをビジネスの中心に据えている企業が対象です。

物流・運送業界を細分化してみる

物流・運送業界は大きく「モノを運ぶ」ビジネスと、「人を運ぶ」ビジネスに2分されます。

細かく業界を分類すると下記の通りとなります。

モノを運ぶ:運送業(郵便業)、海運業、引越し会社
人を運ぶ:鉄道業、航空業、バス事業、フェリー事業、タクシー事業
関連事業等:倉庫業、空港会社、空港運営関連事業、税関

①と②の事業を両方とも手掛けている企業も数多く存在します。また、いわゆる交通インフラにあたる業界ですので、半官半民の企業や元々は国営だったという企業が多いのも特徴です。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

この業界は基本的に左から4番目の「運輸業、郵便業」が該当しますが、日本郵便(株)のみ右から2番目の「複合サービス事業」に含まれます。

グラフの数値的には平均的な業界と言えますが、実態としては企業ごとに離・入職率が大きく変動する業界です。鉄道・航空業界などは専門的な技術が必要ですし、「乗り物愛」の強い人々も多いので、離・入職率はグラフの値よりも低いと思います。逆に運送業界、特に陸運関連はグラフよりも高数値で、離・入職が高頻度に発生しているように見えます。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

この業界は赤色太線の「運輸業、郵便業」に該当しますが、日本郵便(株)のみ水色太線の「複合サービス事業」に該当します。

給与水準はグラフ通り平均的です。非正規職員も多い業界ですので、大卒総合職であればもう少し高めの給与となりますが、この「ジワジワ上がっていく感じ」は変わりません。

この業界は「無事故で時間通りに運ぶ」ということが最大の任務であるため、人事評価で差がつきにくく定期昇給分だけ積み重なっていくことが多いです。成果によって変動する手当も少ないようです。(ドライバー、運転手、車掌といった職種であれば、運送距離に比例した手当はあったりしますが…)

若手人材の不足が課題!

物流・運送業界は若手人材の不足が顕著な業界です。

最も有名なのは陸運のトラックドライバーで、ニュースでもよく取り上げられていますよね。実際、下記グラフのようにドライバーの高齢化が進行しています。


(引用:国土交通省「物流を取り巻く現状について」)

また、トラックドライバーに限らず、物流・運送の現場仕事の若手人材不足は色々な場所で噴出しています。

同じく大型車両であるバスのドライバー確保も困難になっているようで、最近では、京阪バスが京都市バスの受託事業から2019年度末に撤退するというニュースもありましたし、成田空港の保安検査員が大量離職という報道もありました。宅配業者のAmazon取扱い撤退も人手不足が要因の1つのようです。

こうなってしまった原因は「労働環境がハード」というイメージを若者に持たれてしまっているからだと思います。この業界は運送・運行スケジュールを守るために「勤務シフトによって自由時間を削られる」という傾向はありますし、長時間労働も多めです。

また、日本人は良くも悪くも分刻みで到着時刻に厳しい人種ですから、「時間通りに運送せねば…」という精神的なプレッシャーも大きいと言えます。

航空・船舶関連においては、インターネット接続環境が不安定になりがちな点も、若者にとって減点材料のようです。「海の上で休憩時間貰ってもLINEがつながらな~い!」ってことです。

こういう状況ですので、労働環境イメージの改善が急務です。

とは言え、労働力が不足している状況で労働時間を減らしてしまっては業務が回らなくなってしまいますので、舵取りは非常に難しいのが現状です。少人数でも仕事が回るように生産性を上げていかねば社員の余暇時間も確保できませんし、利益も上がらないので報酬水準も上げられません。

生産性を向上し、お客様だけでなく、そこで働く人にとっても魅力的な会社になることを迫られているのが物流・運送業界だと言えるでしょう。

海運不況と再編の波

現在、海運業界は世界的な不況に陥っています。(気になる方は海運運賃の指数として有名な「バルチック海運指数」を調べてみてください)

海運業は海という国境意識の希薄な場所でビジネスを行うため、グローバルマーケットでの競争が避けられません。そして、「物品を指定場所へ期限内に運ぶ」というシンプルな商売ですから、品質の違いが打ち出しにくく価格競争になりやすいという特徴があります。

そんな特徴の中で、リーマンショック以降の世界経済をけん引してきた「中国の爆食」が沈静化傾向になったため、海上輸送量が伸び悩むようになり、「世界的船余り」が起きた結果、価格競争が激化して運賃相場が下がり続けているのです。

価格競争になると、いかに他社よりコスト面で優位に立つかが重要となります。

海運業においては、「船の巨大化」と「積載率の向上」がコスト圧縮の鍵ですので、企業規模が大きいほど有利です(造船予算の調達と多数の顧客を抱えることで貨物相乗りによる積載率向上が容易になるため)。

そのため、世界規模で業界再編が起きています。

世界シェア1位のAPモラー・マースクが2016年に当時世界7位であったハンブルク・スードを買収合併しましたし、日本の海運大手三社(商船三井、日本郵船、川崎汽船)も2018年春に各社のコンテナ船事業を切り離して新会社OCEAN NETWORK EXPRESSに統合しました。

今後も運賃価格競争は続きそうですので、継続的なコスト圧縮が必要となるでしょう。

鉄道各社の沿線開発

日本の鉄道業界は各社ごとに収益構造が異なっていて興味深い業界です。

例えば、東京メトロは元々が半官半民の特殊法人で、現在も財務大臣と東京都が大株主であるため、多角化はあまり進めていません。数字としても売上の約88%が運輸事業によるものです。

それに対して、JR東日本の売上に占める運輸事業の割合は約68%で、流通(小売)サービスが17%、不動産事業が11%と運輸以外の事業で売上の3分の1を稼いでいます。

そして、極めつけは近鉄グループです。近鉄グループの運輸事業はグループ売上の約19%にすぎません。ホテル・レジャー事業約39%や流通(小売)事業約32%の方が事業規模としては大きいくらいです。

鉄道業界の旅客運賃収入はどうしても沿線の人口に比例しますので、日本の人口減少は巨大な脅威です。そのため、鉄道業界は駅を中心にサービスや流通を展開し、多角化することで売上を伸ばそうとしています

これはいわゆる「沿線開発」という方式です。

バブル期は、私鉄が観光地に旅館やホテル、レジャー施設を建設して人を呼び込む形式が有名でしたが、最近は「日常的な利用シーンを重視した沿線開発」が多いです。成功例としては、駅徒歩ゼロ分を売りにできる駅ビル+駅ナカの不動産事業があげられます。大阪梅田のソラマチや、新宿のミライナタワーなどが有名ですよね。

多角化の成否を分けるのは、結局のところ沿線人口・駅利用客数ですので、沿線の魅力を高めて住民を集めるという「沿線のブランド化」が重要な時代なのかもしれません。

ビッグデータ

物流・運送業界はビッグデータとの親和性が高い業界として注目を集めています。

日頃から大量の荷物や旅客を運送するというビジネスの性質上、「どのエリアにどんな人が住んでいて、どんな活動をしているか」「どんな荷物をいつ預かって、どれくらいの時間で配送しているか」といったデータが日々蓄積されていきますので、利用しない手はありません。

物流・運送業界のビッグデータ活用法を考える場合、2種類のアプローチがあります。

1つ目は「ビッグデータを活用して、物流・運送ビジネスをより安全で効率的なものにする」というアプローチ。

2つ目は「多角化のためにビッグデータを活用する(もしくは他業種他社に売る)」というアプローチです。

ただ、実際のところは思うように進んでいないのが現状です。

1つ目のアプローチにおいては、現場発言力の強い業界風土が、「データやシステムによって導き出された最適解」を拒む傾向にあるということ。2つ目のアプローチに関しては「多角化や他社向け販売に利用できそうなデータほど、個人情報保護法に抵触しそう」であり、積極的になりづらいということが要因ではないかと思います。

どちらにせよ、活用を進めるためには「理解を得る」ことが必要です。

前者の場合はデータ活用の価値を現場に理解してもらう、後者の場合は個人を特定できないような工夫をしたり提供を拒否できる仕組みがあることを通知したりすることで消費者の理解を得る、という地道な取り組みが求められているのではないでしょうか。

求められる資質や能力は?

物流・運送業界で必要とされる能力は「論理思考・論理説明力」です。

この業界は現場職員が多いうえに、支店・駅・空港・物流基地など拠点数が多く、従業員が分散しがちです。そのため、どうしても「現場職員の発言力が強く、彼ら(彼女ら)の経験と勘に基づくやり方が優先されやすい」という傾向があります。

ですが、仕事の効率・安全性を高めるためには「経験と勘を一旦排除して論理ベースで考え直す」ということが必須です。「どうすれば、より効率的でより安全か」を論理的に考え、それを分かりやすく噛み砕いて現場職員に説明し、「違和感あるけど試しにやってみようか」という気にさせることが求められると思います。

また、多角化を進めるというシーンにおいても「事業ビジョンを示し、利益が出ることを首脳陣に理解させる」ことが求められますので、論理思考・論理説明力があると大きな武器となるでしょう。

物流・運送業界は、私たちの日常生活に欠かせない業界です。お客様の命や大事な荷物を預かるという責任は重いですが、そこに大きなやりがいを感じられることも事実です。

「身近な人に、『アレをやっているのか』と分かってもらえる仕事がしたい」と思う方は、この業界も選択肢に含めてみてはいかがでしょうか。

自動車・機械業界編

俗に「基幹産業」と呼ばれる、工業の中心業界です。

自動車・機械業界を細分化してみる

自動車・機械業界を細分化します。今回は、右側に各業種の代表的な製品を並べました。

輸送用機器:自動車、バイク、トラック、特種用途車両(消防車、救急車、給水車、軍用車等)
建機・農機:建設機械(クレーン、ショベルカー、ブルドーザー等)、農業機械(トラクター等)
工作機械:旋盤、マシニングセンタ等
部品製造:①~③製品用の部品製造

①の個人消費者向け販売を除くと、概ねBtoBのビジネス形態と言えます。また、③と④の両面でビジネスを展開している企業も数多く存在します。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

この業界は言うまでもなく左から2番目の「製造業」に含まれます。グラフの数値としては離・入職が少なめの業界と言えます。

高度な専門知識や専門技術が要求される業界ですし、企業ごとに仕事の進め方が大きく違いますので、人の入れ替わりは少ない傾向にあると思います。ただし、営業職や事務職の方などは幅広い業界で応用可能なスキルを身につけられますので、グラフ数値よりは高めの離・入職率になっているように思います。

国境を跨いで生産・販売を手掛ける企業が多いですので、「自動車業界の財務経理職で国際的な会計管理を経験し、財務コンサルタントに転向」なんて方もいます。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

赤線太線の「製造業」が今回の対象業界です。実際の給与水準もグラフ通りだとイメージしていただいて良いかと思います。

この業界は「何が売れたか」は数字として明確に出る業界ですが、集団でモノ作りをする以上、個人成績との関連付けが難しい業界です。

「自動車営業職で販売額が地域トップ」といった営業職の営業成績を除くと個人単位で評価の差をつけづらいため、20~30代で報酬が急上昇というケースは希少と言えるかもしれません。

AI化の波

自動車・機械業界を賑わせているキーワードと言うと、やはり「AI化」が筆頭に来るかと思います。

自動車における自動運転などが最も分かりやすい例でしょうか。工作機械においては、機械の異常検知や製品不良の検出といった面から開発が進行しています。

AI化は大きなビジネスチャンスであるのは間違いないですが、自動車・機械業界が突破しなければならないハードルがいくつか存在するのも事実です。

ここでは2つ具体例をご紹介します。

まず、1つ目のハードルは「AIをプログラムする」です。

AI化において、AIが事象を知覚するためのセンサーや、人間が担当していた作業を代わりに担当するロボットを作るのはこの業界の得意分野ですが、肝心の「AIを作る」という点は情報通信業界(の中でも特に優れた一部の企業)の分野です。

そのため、自社単独で斬新なAI製品を作るというのが困難なのです。技術レベルが高く、ビジョンを共有できるシステム企業(あるいは大学研究室)などと協力体制を築き、自分たちのAI化ビジョンを実現できる環境作りを進める必要があると言えるでしょう。

2つ目のハードルは「法律・社会制度面の課題」です。

例えば、テレビのニュースやネット上のコラムなどで数多く取り上げられている通り、現在の法律では公道を完全自立式の自動運転車が走ることは基本的に禁止されています(詳しく知りたい方は「ウィーン交通条約」「ジュネーブ道路交通条約」等を調べてみてください)。

また、「自動運転車のAIが誤判断をして事故を起こした場合、責任は誰がとるのか?」といった点も現状では解決の道筋が見えていません。AI化製品がシェアを拡大していくためには法律面の整備が不可欠ですので、政府や国交省の動きには注目する必要があるでしょう。

逆転的な発想をすると、「法律整備の後押しになれるような機能」を開発できれば、一気にこの分野で先頭に躍り出ることができるかもしれません。

部品製造業の恐怖~自動車のEV化~

現在、自動車業界では次世代自動車の開発が進んでいます。

その中の主力の1つである電気自動車(EV:Electric Vehicle)はガソリン車より圧倒的に少ない部品数で製造が可能だと言われています。

まず、簡単にですがその理由を説明しましょう。

EVは電池&モーターによって動力を確保しますのでガソリンエンジン及び排気関連の部品がゴッソリ不要になります。さらに、バックギアも不要です(電流を逆方向に流せばモーターは逆回転するため)ので、ギアボックスも簡素化が可能です。

このような要因による部品数の減少は部品製造業界にとって大きな脅威です。部品製造業界にとって自動車業界は特大顧客であり自動車関連部品の出荷数が業界利益に直結するからです。

EV化により電機系の部品製造を得意とする企業には逆に優位性が生まれる(日本電産などはモーター製造を加速させています)とも考えられる一方で、それ以外の多くのエンジン動力関連の部品メーカーは厳しい環境に置かれることが予想されますから、今後は「利益を出せる新商品や新事業」の創出が求められる状況になると言えるでしょう。

メンテナンスサービスの重要性

自動車・機械業界において「製品本体の性能や魅力を高める」ことは非常に重要ですが、これからは「機械を使うシーンを想定してサービス面を充実させる」という視点を併せ持つことが求められると思います。

この点において、ご紹介しておきたいのが建機や商用車(トラックやバス)、工作機械業界における「メンテナンスサービスの重要性」です。

一般消費者が国内で普通自動車を買う場合、「〇〇社はメンテナンスサービスが優れているから買おう!」という人は少数派です。私生活において自動車が壊れたところで生活への悪影響は限定的ですし、修理中に代車を借りることも容易ですので、メンテナンスサービスの品質は商品選択において軽視されます。(もっとも、日本国内におけるメンテナンスサービスはどこのメーカーも高品質で差がつかないとも言えます)

しかし、建機や商用車、あるいは工作機械だとメンテナンスサービスの優先度は格段に上がります。

例えば、ビルの建設現場で大型クレーンが1台壊れたらどうでしょうか。当然、修理までの時間がそのまま納期遅延のリスクになります。中小規模の小売企業が保有する特殊トラック(生鮮品輸送用等)が1台壊れた場合などは、まともに商売ができなくなるかもしれません。

このように、建機や商用車や工作機械というのは、たった1台の1回の故障が企業の経営存続を左右しかねないのです。そのため、「故障時にいかに素早く修理(あるいは代替機を用意)できるか」という点はかなり優先度の高い評価基準となるのです。

いくら良い製品を作っても、それを継続的に使ってもらう環境が整わなければビジネスは行き詰まってしまうでしょう。メンテナンスサービスを含め、「顧客が安心して商品を使用できる環境を整備する」という点に対するアプローチがこれまでよりもさらに求められる時代になるのではないでしょうか。

求められる資質や能力は?

自動車・機械業界において必要とされる能力は「想像力」です。

特に「顧客が自社製品を使っているシーンを想像する力」が要求されると思います。

散々言い古された内容かもしれませんが、日本の製造業は「技術力は高いけれど、需要の無い製品を作ってしまう」という問題点を抱えています。これは結局のところ「利用シーン」や「製品を使う場面のストーリー」を企業側が十分に想像できていないからだと筆者は考えています。

新製品を作るにしてもサービス面の拡充を目指すにしても、顧客が実際に製品を使用していて「便利だなぁ」「お得だなぁ」と感じられることは欠かせません。どんな製品やサービスを作れば、より顧客の生活やビジネスの質を高められるのか「リアルに想像する」ことが求められるでしょう。

自動車・機械業界は一国の工業力の根幹をなす業界です。それゆえ、国際的な競争も非常に激しいですしビジネスの規模も超巨大です。スピーディーかつドラスティックに変化していく業界で「想像力を活かし、最先端のモノ作り」がしたいという方はこの業界の志望を検討してみてはいかがでしょうか。

資源・エネルギー・素材業界編

派手さはないですが、現代人の日常生活を支える「縁の下の力持ち」的な業界です。

資源・エネルギー・素材業界を細分化してみる

この業界はタイトルの通り、3つに大分できます。

資源:石油、石炭、天然ガス、鉱物資源(鉄鉱石・レアメタル)などの採掘業
エネルギー:電力、ガス事業
素材:石油化学、繊維、鉄鋼、製紙、ゴム等の製造業

私たちの生活に欠かせないエネルギーや素材を提供する業界ですので、戦前から続いているような企業も多く財閥系企業も多い傾向にあります。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(参考:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

上記①資源業種は左から1番目の「鉱業、採石業、砂利採取業」、②エネルギー業種は左から2番目の「電気・ガス・熱供給・水道業」、③素材業種は左から3番目の「製造業」に含まれます。

各種鉱物資源を採掘する国内鉱山は閉鎖や自動化が進んでいますので、鉱業は入職より離職の方が多くなっています

電気・ガス事業はインフラ業界で経営が安定しており、後述の通り高収入な業界でもありますので、離・入職率ともに低い傾向にあります。

素材産業は一般的な製造業と同程度の離・入職率で、グラフの数値通りといった印象があります。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

上記①資源業種は黄色太線の「農林水産・鉱業」、②エネルギー業種は水色太線の「電気・ガス・熱供給・水道業」、③素材業種は赤色太線の「製造業」がそれぞれ該当します。

グラフの通り、電気・ガスなどをはじめとする「水光熱」の提供業界は非常に高給です。自由化が進んでいるとはいえ、未だ自社管轄エリアにおいては独占的なビジネスを展開できている企業が多いですので、企業収益が安定しており、それが報酬にも表れているのかもしれません。ただし、鉱業は農業とひとまとめにされているため、実際よりも低めに見えてしまっているように思います。

シェールガス革命

この業界(とりわけ石油・ガス関連業界)の注目キーワードとしては「シェールガス革命」が挙げられます。

シェールガス・シェールオイルは地中の頁岩(シェール)層と呼ばれる地層から採取される化石燃料です。

頁岩の中に天然ガスや石油が含まれていることは昔から分かってはいたものの、地下2000~3000mに存在する岩石内部のガスや石油を抽出する方法が無く実用不可と言われていたのですが、水圧破砕法という採掘方式が発明されて実用可能となりました。

水圧破砕法を簡単に説明すると、地中の頁岩層に鋼管を通してそこから超高圧の水を射出させて頁岩に亀裂を入れ、内部のガスや石油を抽出するという方法のようです。

シェールガス・オイルは中国、アルゼンチン、アメリカなどに多く埋蔵されており、上記した技術革新の結果、アメリカ本土でのガス・石油採掘が一気に増加しました。

いまやアメリカは天然ガス・石油ともに世界最大の産出国になっています。産出国のランキングがガラッと変わるような情勢変化を生んだことから「革命」と言われるようになりました。

このシェールガス革命に乗る形で、日本企業は投資を活発化させています。

電力会社やガス会社は商社とタッグを組む形で米国産ガス・石油を買い付けて輸入し始めましたし、石油化学産業は石油を原料とする製品(塩化ビニール等)の工場をアメリカに建設しています(信越化学などが積極的です)。

また、鉄鋼メーカーは採掘用の鋼管製造に食い込んでいます。上述した通り、シェールガス・オイル採掘用の鋼管は高圧水流の流路となるため、頑丈さが要求されます。その点において日本の鉄鋼メーカーの鋼管は高評価を得ているようで、高いシェアを確保できているようです(「シームレスパイプ」などを検索してみてください)。

世界レベルでエネルギー情勢が変化していますので、目が離せない状況だと言えるでしょう。

電力事業者とガス事業者の境界線が・・・

電力・ガス事業者と聞くと「安定業界」というイメージを持たれる方が多いと思います。確かに、不況に強く地域独占で価格競争になりにくいという特徴がありますので、安定業界というのは間違いありません(でした)。

しかし、3.11.震災以降に国のエネルギー政策が転換し自由化が始まったことで、現在は地域独占が崩壊して競争市場化が進行しています。

2016年4月に電力小売(一般家庭向けの電力販売)が自由化されました。それまでは地域の送電を担う一般電気事業者(東京電力・関西電力等)の地域独占だった電力小売に、新しい企業の参入が可能となったのです。そしてその1年後、2017年4月には都市ガスも同じように小売自由化されました。

これによって現在、電力・ガス事業者の顧客争奪戦が起きています。両業界ともに「電力・ガスの一括契約」を旗印にお互いの顧客を奪い合っているのです。

電力・ガス事業者はビジネスモデルが似通った業態です。

どちらも化石燃料を仕入れ、それを使用して発電するか都市ガスを生成するかして、配給ネットワーク(電線・ガス管)を通じて顧客に届けるというビジネスです。また、使用量を検針し、個別に料金を請求・精算するという機能も持ち合わせています。そのため、「既存事業を活かして多角化しよう!」と考えた場合、互いのビジネス領域が必然的に拡張先となってしまうのです。

今後、2020年には電力事業者の発送電分離が、2022年にはガス事業者の導管分離が行われます。

配給ネットワークの部分が分社化され、様々な供給企業が公平に参入できる環境がより整備されることになりますので、今よりももっと電力・ガス事業者の境界線は曖昧になっていくことが予想されます。

異業種(商社等)からの参入も増えそうですので、より競争力が求められる時代になっていくと思います。

コモディティ化に抵抗する素材業界

コモディティ化(商品の差別化が不十分になり、価格以外に差が無くなること)は素材業界でも猛威を振るっています。

顕著な例としては鉄鋼業や製紙業が挙げられるでしょうか。

両業界ともに中国の生産量が激烈な勢いで伸びており、それに押される形で日本企業の生産量は縮小傾向です。

業界平均の設備で生産可能な低付加価値製品の分野においては、人件費・土地代といったコスト面で日本企業は不利と言わざるを得ません。必然的に、高付加価値製品に活路を求めることとなります。

そんな高付加価値製品の成功例を2つご紹介しましょう。

まず1つ目は、鉄道の線路に使われるレールです。

レールにはいくつか規格があり、1メートル60kgのものが世界的に主流ですが、近年1メートル80㎏の重いレールの需要が高まっています。レールは重くなればなるほど耐久性が上がり、振動が抑えられて列車の安定性も向上しますので、高速鉄道や貨物列車の積載量向上には重いレールが不可欠なのです。

この80kgレールですが、今のところ製造できるのは新日鐵住金とJFEスチールだけです(世界でこの2社だけ)。数十メートルのレールを均一に加熱・加工する技術が必要であり、他国製鉄企業は今のところ真似できていません。

2つ目は、液晶テレビ・モニターに使われる偏光板です(偏光板の詳しい原理は各自で調べてください!)。

液晶モニタ用の偏光板は光学用ポバールフィルム(PVA)と保護フィルム(TAC)を貼り合わせて作られますが、PVAはクラレと日本合成化学工業(三菱ケミカルの子会社)の2社独占ですし、TACも富士フィルムとコニカミノルタの2社で世界シェアの9割を握っています。

電機メーカーごとのコダワリに応えて微調整可能な点も強みですが、何より「フィルムの薄さ」の面で日本の素材メーカーは抜けているそうです。

素材業界は電機業界よりBtoB色が強いため、「一般消費者の求める付加価値をデザインする」という日本人の苦手な面が出にくく、「技術力で押していく」という得意なパターンに持ち込めているように感じます。

とは言え、研究開発費にも限りはありますから、自社の技術で勝負できる素材分野に「選択と集中」することが必要となるでしょう。

求められる資質や能力は?

資源・エネルギー・素材業界で必要とされる能力は「情勢を読む力」だと思います。

この業界は現代人の生活基盤を支える商品を扱いますので、国家戦略といった国レベルの情勢変化によって大きく影響を受ける可能性があります。

上記したような国内エネルギー政策の転換であったり、グローバル視点では最近激化している米中貿易戦争などによって「いきなりライバル企業が出現!」とか、「自社製品が禁輸を食らった!」なんてリスクがゴロゴロ転がっているのです。

そのため、リスクマネジメントという観点がとりわけ重要な業界と言えます。

各国政府や首脳が何を考えているのか、どこの市場でどんな変化が起きつつあるのか、といったことにアンテナを張り巡らせて、「リスクを最小限に抑えたうえで利益を確保する」ことができると貴重な人材になれるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、資源・エネルギー・素材業界は生活基盤を支える商品を扱っている業界ですので、世界各国の政府や企業が「存在感を向上するためにシェアを確保しよう!市場を支配しよう!」という思惑を持って競走に参入しています。それゆえ、「顧客目線」に加えて「他社に対してどうやって優位性を築くか」という勝負マインドを一層強く求められる業界です。

激しい競争の中で自分の価値を示したいという方はこの業界への就職も検討してみてはいかがでしょうか。

教育業界編

教育業界を細分化してみる

教育業界を細分化してみると、年齢や職業などに応じた多種多様な教育サービスが展開されています。

学校:学校法人(幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専門学校)
学習支援業:学習塾、予備校、家庭教師
社会人教育:資格予備校、企業研修業
その他:通信教育、習い事教室系(音楽教室、スイミングスクール等)

この業界は、ほとんどがBtoCのビジネス形態と言えます。

上記③の社会人教育に属する企業研修(筆者の本業)も契約形態としてはBtoBと言えますが、結局のところ指導対象は一人の人間ですので感覚的にはBtoCに近いのではないかと感じます。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

教育業界は右から4番目の「教育、学習支援業」が当てはまります。

「少子化なのに入職率の方が多いの!?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、少子化や若い世代の人手不足によって1人の人間に対する教育投資の額は増加傾向にあります。そのため、業界の景気はまずまず好調で、入職者の方が多い状況となっているのです。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

教育業界は赤色太線の「学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業」に含まれます。

実際の給与水準も概ねこのような推移で、上下差もあまり大きい業界ではないと思います。ただし、いわゆる「カリスマ講師」と呼ばれる人々だけは別格の報酬を得ています。人々の注目を集め、熱中させられる技術を持つ方が稼ぐには適した業界かもしれません。

また、筆者のように起業して独立講師・コンサルタントとなる人も多いため、55~60歳の定年退職によって収入の減少影響を受けにくく、他業界と比較すると55歳以降の給与減少が緩やかになる特徴があります。

「定年を機に経験や特技を活かして講師に転身した」というエネルギッシュな同業者もいます。

2020年教育改革

いま、教育業界を賑わせている最もホットなワードは「2020年教育改革」です。

これは、文部科学省が推し進めている教育制度の大幅な改変で、主に小中高校生に対する学校教育の方針が大きく変わるものとなっています。

≪代表的な変化≫

①現行の大学入試センター試験は2020年1月開催で終了。替わりに大学入学共通テストが新設される。

・数学と国語において100字程度の論述問題が出題予定、英語はTOEFL・英検などの成績活用が可能に

②大学入試における学校推薦、AO入試での学力試験免除がなくなる

・小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績、あるいは共通テストのうち、少なくとも1つの活用が必須化

③小学校教育に「プログラミング教育」が導入される

今回の改革は、今までの「受動的に知識を詰め込む」という形態に偏っていた学校教育を「能動的に学ぶ(アクティブラーニング)」や「思考力・表現力・判断力を養っていく」といった形態に転換することを目指しているようです。

筆者は上記した変革の目的・理念自体に関しては高く評価しています。筆者のメイン領域は学校教育ではなく企業の社員教育ですが、「考える力・表現する力」を要求されるビジネスシーンは数え切れませんので、そういった能力の全体水準を上げられれば日本の生産性向上に大きく寄与するのではないかと思います。

ただ、それを実現する難易度はかなり高いとも感じます。教える側である教師や親が「自ら考えて表現する」という形式の教育を受けていないため、教える側の教育力をどうやって実用レベルに持って行くかが非常に大きな課題だと考えています。

いずれにせよ、小中高校生に対して提供すべき教育サービスの中身が大きく変わりますので、教育業界においては新しい教育方針に合致した新教育サービスの開発が急務です。

業界全体が一気に変化することを要求されている「ピンチとチャンスの同居状態」というのが現在の教育業界と言えるでしょう。

「底上げ教育」の存在感が高まっている

各種教育カリキュラムは、そのカリキュラムの対象者の観点から「選抜者教育」と「底上げ教育」の2つに分類できます。

まず、「選抜者教育」は、教育対象者が何らかの形式で選抜されるタイプの教育です。高偏差値の進学校や大学での教育、あるいは、企業の幹部社員向け研修などが当てはまります。

対して「底上げ教育」は、ある集団のほぼ全員、あるいは能力的に平均以下の層に対して行われる教育です。日本の義務教育はこちらに属します。企業における新入社員研修も、採用試験という選抜こそありますが、性格的には底上げ教育の色が強いかと思います。

この2種類のうち、後者の「底上げ教育」の存在感が最近高まっているのです。

その理由を以下に挙げます。

理由①
少子化によって、選抜者教育だけでは集団を維持する頭数が確保できなくなった

理由②
少子化によって、1人にかけられる教育投資額が増加した

理由③
選抜者教育に傾倒することがコンプライアンスや企業イメージ上、望ましくない時代になった

端的にまとめると、「若者が減ったことで、以前なら教育・育成を行ってこなかった層の若者も、なんとか授業についていける・企業人として稼げるレベルに育成しなければならない」という世の中になったということです。

この「底上げ教育」の一例としては、「リメディアル(remedial)教育」が挙げられます。

リメディアル教育は「大学に入ったけど、基礎学力不足で授業についていけない!」という学生を救済するために行われる補講・補修授業を指します(「治療教育」と訳されることもあります)。

入試形態の多様化や少子化による難易度低下によって、基礎学力が水準に満たない人が大学に入って”しまう”ケースは増加傾向にありますので、リメディアル教育によって、そういった層を救い上げる必要性は今後益々強まっていくと言えるでしょう。

また、「底上げ教育」においては、ITを活用した新興ベンチャー企業も活発な動きを見せています。これは「底上げ教育」とITの相性が良いからです。

「底上げ教育」は「選抜者教育」のように人を選抜しませんので教育対象は学力やスキルレベルにバラツキのある集団となります。そういった集団に対しては一般的な1対多の講義・授業形式より、1人1人の理解力に応じて手取り足取り指導する形式が適していますので、「IT&データ解析によって対象者の学力を推量し、PCを使って最適な教育コンテンツを提供する」という「疑似的な個別指導ができる点」が教育ITベンチャーの強みとなっているのです。
(2017年末に上場した「すららネット」がこういった新興教育ベンチャーの代表株ですね)

人口減少社会の日本において、中長期的な労働力不足が発生することはほぼ確実です。人的リソースを有効に活用するためにも「底上げ教育」の重要性はこれからも高まっていくと考えられます。

学校業務のアウトソーシング

続いて学校教育の環境面についてのトピックを1つ取り上げます。

いわゆる「ブラック職場」の議論で最近取り上げられるようになっているのが、学校の教員職です。一部の高偏差値進学校を除くと教員の仕事量は非常に多く、時間外労働や持ち帰りの仕事を多く抱え込んで、まともに休みもとれない状況になっています(実態についてはいくつもの記事があるので検索してみてください)。

教員の労働環境問題が大きくクローズアップされる時代になりましたので、政府・省庁や自治体側も対策に動き始めています。この流れに乗る形で、教員の業務負担を軽減させるための、学校業務のアウトソーシング(外部委託)が活発化するのではないかと筆者は考えています。

学校業務のアウトソーシングで近いうちに大きな動きがありそうなのは、部活顧問の外部指導員です。

「部活指導で休日が潰れる」というのは我々一般市民にも響きやすい(分かり易い)事態でニュース性も高いため、数年内にアウトソーシングが一気に進展するかもしれません。

まだ予算的には小さいと言えますが、文科省も2019年度予算で13億円を部活外部指導員の促進費として計上しています(2018年度は同項目に5億円でしたので2.6倍に増加しています)。習い事教室の運営をされているような事業者にとっては、千載一遇のビジネスチャンスとなる可能性がありますので、文科省や自治体の動きには要注意です。

その他にも、授業で使用する教材の製作や、事務作業のアウトソーシングなども検討が進んでいます。教育業界が持つノウハウや人材を活用し、学校側(あるいは文科省)が価値を感じるサービスを提供できれば、売上拡大に繋がっていくのではないかと思います。

求められる資質や能力は?

教育業界で必要とされる能力は「表現力」だと思います。

教育業界というのは知識・技能を人に教えることで対価を得ており、「決められた時間内に、どれだけ多くの知識や技能を伝えられるか、身につけさせることができるか」がサービスレベルの違いとなってあらわれます。

そのため、教師・講師として直接的に教える立場になるにせよ、教材やカリキュラムを作ったり売り込んだりする裏方になるにせよ、「分かりやすい資料を用意し、分かり易い説明をする」とか「『やってみよう』と勇気づける」ことを可能とする表現力が不可欠です。

表現力の差が、そのまま「サービス価値の差」、引いてはその人の「教育業界人としての価値の差」に直結するのではないでしょうか。

情報でも知識でも技能でも、人に何かを教えて「なるほど!」と言ってもらうことは人間にとって大きな喜びだと筆者は常々感じています。(それに魅了されて、講師・コンサルタント業をライフワークとしています)

人が成長していくことをサポートし、「できるようになった!」という喜びを共有したいと思う方は、教育業界への就職を検討してみてはいかがでしょうか。

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