「フシギの国の商習慣“リベート”って何だ?」の巻

今回のテーマは“リベート”。前回の“協力金”の続編です。“リベート”は日本独特の商慣習のひとつ。「割引き」じゃなくて「割戻し」のこと、って言ってもピンとこないと思うので、自称小売Love野郎の流通コンサルタント高井氏がわかりやすく解説します。

こんにちは。デキルニンのタスクマスター、高井です。

前回、アマゾンの“協力金”のニュースを解説しました。
今回は社会人なら併せて知っておいてもらいたい、日本独特の商習慣“リベート”についてお話します。

「割戻し」という、謎のシステム!

“リベート”とは、メーカーから卸売業者や小売業者に対して、通常の取引とは別に、
一定期間の取引量や取引金額に応じて支払われる代金のことで、「割戻し」と訳されます。

謝礼名目で授受される金銭のこと。売上割戻、仕入割戻、キックバック。
旅行・観光業では、略号(符丁)として英語の頭文字から「アール (R)」とも呼ばれる。

  • インセンティブ - 事前の取り決めを上回る売上実績に対する報奨金。近年は携帯電話販売で多用された。
  • 割戻 - 一定以上を売り上げた相手先に、あらかじめ取り決めた額や率により、売上代金の減額や返金を行うこと。会計用語。
  • バリューディスカウント - 一定以上の多量な取引で、あらかじめ取り決めた額や率を、支払金額から減額すこと。
  • キャッシュバック - 商品を購入時に、購入代金の一部が払い戻しされること。購入を証明する書類の提出が義務付けられる例が多い。
  • 賄賂 - 取引に際して、相手先に契約外で利益を供与すること。

wikipediaより引用

ケーススタディーで解説します。

  • 飲料品メーカーが新商品を発売し、小売業者がそれを5万円分買い、代金も支払った
  • 取引の一定期間後に、5000円が飲料品メーカーから小売業者に支払われた

→代金が割り戻されたので“リベート”となります。

結果的には割引きなのですが、その場ではなく後からなので、「割戻し」と呼ぶのです。

「何でそんなことするの?だったらその時に割引きすればいいじゃん。」というツッコミが聞こえてきそうですが、それは、もちろん、ごもっともなご指摘です。でも、習慣としてあるものなので、受け入れるしかないですね。

ちなみに、アメリカにはこうした“リベート”の慣習はありません。

メーカーの販路統制、維持拡大が目的

“リベート”には上述した例のように、新商品を取扱ってもらうために支払う「導入リベート」や、商品の取引量に応じて支払う「累進リベート」など、いくつかの名目(種類)がありますが、どのような名目であっても目的は同じです。
それは、メーカーが『流通チャネル』をコントロールすることです。メーカーは自社製品をたくさん売りたい、そのためにはできるだけ多くの店頭に製品を置きたいと考えます。

全国展開する小売業者と契約する、多くの個人商店と取引のある卸売業者と契約する、自社で販売店を作ってしまう…、などやり方は様々ですが、この販売に至るまでのルート(販売経路)を流通チャネルと呼びます。メーカーとしては、いかに効率的な流通チャネルを構築するかが重要なのです。

したがって、リベートはメーカーが自社の販売経路を統制・拡大維持のために支払う報奨金ともいえます。メーカーが支払う形は同じですが、小売業者に要請されて支払う、”協力金”や”協賛金”とは意味が全くちがうわけですね。

なんとも日本的、忖度満載!

メーカーと小売業のパワーバランスがメーカー寄りだった時代は、

「(メーカー)うちと取引きしてくれてありがとうございます。リベート払いますから、これからもよろしく。その代わり他のメーカーの商品は置かないでね、置いたらうちの商品おたくには入れさせないよ。」

といった、強大なブランド力を背景にした「排他的リベートの供与」が独禁法違反になるケースもありました。今はこの力関係が逆転して、小売業側が強くなっているわけです。

このように、複雑かつ実態がブラックボックス化しているリベートは海外から批判を浴びたり、実施するメーカーにも事務処理の負担が生じるなど非効率な面もあります。そのためリベート廃止や見直しを図るメーカーも増えています。

しかし、メーカーが取引先の経営状況に応じて個別にリベート金額を調整し、取引先の利益を補うケースも多く見られます。

極めて日本的な“持ちつ持たれつ”の関係を象徴していると言える”リベート”。中小の卸売業者や小売業者が多い国内の流通業構造を考えると、完全撤廃するのはなかなか難しそうです。

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高井

人材育成コンサルタント。研究・専門分野:店頭販売員の能力・資質向上、消費者行動分析、ダイレクトマーケティングなど。プロレス、シルバニアファミリーにも造詣が深い。IWCキャリア教育研究所 主任研究員

小売Love野郎・高井の「なるほど!ザ・小売ワールド」