就活面接で「尊敬する人物は親と答えてはいけない」は本当か?

「あなたが尊敬する人物は誰ですか?」
就活面接でのこの問いに対して「親」と答える就活生は面接官にどう評価されるのでしょうか?
面接官としての経験を基に、「親」と答えることで生じるデメリットを考察し、ハイリターンを得るための方法をお伝えします。

こんにちは。人財育成コンサルタントの吉田竜一です。

就活テクニック、あるいは就活格言の1つとして、「尊敬する人物を訊かれた場合、親と答えてはいけない」という定説があります。

今回は、この就活テクニックが正しいのかどうかを考えていきましょう。

確かに、「親」と答える学生が多い事実

まず、尊敬する人物を「親」と答える場合のデメリットを考えてみましょう。

何よりも大きいデメリットは、「親と答える人数が多い」という事です。

企業・業界によって上下差はあるでしょうが、少なくとも選考対象の3割程度の就活生が「親」と答えます。

そのため、「尊敬する人物は父親・母親です」と言われた瞬間に、「また親か…」とため息をつきたくなるのが面接官側の正直な気持ちです。

そして、デメリットのもう1つは、「親との距離感を疑われる」という事です。

最近取り上げられることの多い「モンスターペアレンツ」や「ピーナッツ親子」といった言葉に良い印象を持っている人事担当者は少なく、「独り立ちできていない」と警戒している担当者が圧倒的多数です。

そのため、尊敬する人物を「親」と答えるのは、「親離れできていないのではないか」という疑念を抱かせてしまい、思わぬマイナス評価に繋がる可能性があります。

逆にメリットを考えると、「一発アウト」にはなりにくいという点くらいでしょうか。

受験面接と違い、就活面接を行う企業は私的な団体ですので、それぞれ独自の思想・信条、あるいはタブーを持っています。それらに反する偉人・有名人を挙げて地雷を踏んでしまうと大きく減点されかねませんから、そのような可能性を回避できると言うこともできるでしょう。

結局大事なのは「理由」

では、尊敬する人物を尋ねる場合に、面接官がチェックしているのは何でしょうか。

それは、「理由」です。

他者(突き詰めると面接官当人)が納得できる理由、他者が「それならば私も尊敬する」という理由を示せるかどうかを見ているのです。

そのため、実際は答えが「親」であっても、面接官が「なるほど、そんな両親であれば尊敬して当然だな」と思ったのであれば高評価を得られます。

しかし、実はこの「他者が納得できる理由」こそが、「親」という回答の最大の難所なのです。

尊敬する人物を「親」とすると、どうしても「育ててくれて感謝」という理由に集約されがちで、面接官を納得させられる「尊敬エピソード」が出にくいのです。

近所に住んでいるお子さんの同級生が、延々と親に対する感謝を述べたとして、皆さんはその子の親御さんを尊敬するでしょうか。

「立派な親御さんだねぇ」とは思うかもしれませんが、尊敬には至らないのではないでしょうか。

面接官もそれと同じ思いなのです。

「親」と答えるのはハイリスク・ハイリターン

親と答える学生が多く、その理由も似通っており、親との距離感を疑われるということもあるため、尊敬する人物を親と答えることがハイリスクなのは間違いありません。

ですが、それゆえに、説得力のある理由を提示できた場合に「良い意味で目立つ」とも言えます。

「親と答えたので聞き流そうと思っていたら、思わぬエピソードに引き込まれてしまった」と面接官を唸らせるような回答ができるのであれば、リターンは大きいと考えられるでしょう。

つまり、尊敬する人物を訊かれた際に、「親」と答えるのはハイリスク・ハイリターンなのです。

自己PRや志望動機などと比較すると、尊敬する人物は軽めに訊くことのできる話題なので、「どんな理由」で「誰を」挙げる予定なのか、お子さんに訊いてみるのが良いでしょう。

親御さんの立場からすれば、お子さんが「私が尊敬するのは両親(父or母親)です」と言われると嬉しいのは当然ですが、その理由が面接官にも通用するかどうかは、お子さんと一緒に面接官目線で考えてみてください。

(追伸・参考)
御存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、採用面接にて「尊敬する人物」を質問するのは、厚生労働省のガイドライン上は非推奨となっています(参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。ただし、実際問題として、尊敬する人物や愛読書を訊かれることはありますので、どう答えるかの準備はしておくとよいでしょう。

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吉田 竜一

大手外資系企業のプロジェクトマネージャーを経て、人財育成コンサルタントに転身後、人材育成研修等のプラン設計・講師などを歴任。現在、アンタントコンサルティング株式会社代表。「企業と人財のミスマッチを防ぎ、現場力を高める」がモットー。

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