★デキルニンの就活業界分析★資源・エネルギー・素材業界編

デキルニンオリジナルの【資源・エネルギー・素材業界分析情報】です。業界を細分化して分類。さらに資源・エネルギー・素材業界の「離職率」や「平均給与」情報も掲載。もちろん、業界動向が分かる「TOPICニュース」や「今後の業界展望」、「求められる資質や能力」にも言及!

人財育成コンサルタントの吉田竜一です。

業界分析とは、世の中にある業界の種類やその特徴を知り、自分が興味のある業界を見つけるために行う就活の大事な作業のひとつ。

「人気企業ランキング」などを見る前に!
業界地図などの本を読む前に!

まずは各業界の概要を知ることから始めましょう。

今回は、資源・エネルギー・素材業界を取り上げます。

派手さはないですが、現代人の日常生活を支える「縁の下の力持ち」的な業界です。

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資源・エネルギー・素材業界を細分化してみる

この業界はタイトルの通り、3つに大分できます。

資源:石油、石炭、天然ガス、鉱物資源(鉄鉱石・レアメタル)などの採掘業
エネルギー:電力、ガス事業
素材:石油化学、繊維、鉄鋼、製紙、ゴム等の製造業

私たちの生活に欠かせないエネルギーや素材を提供する業界ですので、戦前から続いているような企業も多く財閥系企業も多い傾向にあります。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(参考:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

上記①資源業種は左から1番目の「鉱業、採石業、砂利採取業」、②エネルギー業種は左から2番目の「電気・ガス・熱供給・水道業」、③素材業種は左から3番目の「製造業」に含まれます。

各種鉱物資源を採掘する国内鉱山は閉鎖や自動化が進んでいますので、鉱業は入職より離職の方が多くなっています

電気・ガス事業はインフラ業界で経営が安定しており、後述の通り高収入な業界でもありますので、離・入職率ともに低い傾向にあります。

素材産業は一般的な製造業と同程度の離・入職率で、グラフの数値通りといった印象があります。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

上記①資源業種は黄色太線の「農林水産・鉱業」、②エネルギー業種は水色太線の「電気・ガス・熱供給・水道業」、③素材業種は赤色太線の「製造業」がそれぞれ該当します。

グラフの通り、電気・ガスなどをはじめとする「水光熱」の提供業界は非常に高給です。自由化が進んでいるとはいえ、未だ自社管轄エリアにおいては独占的なビジネスを展開できている企業が多いですので、企業収益が安定しており、それが報酬にも表れているのかもしれません。ただし、鉱業は農業とひとまとめにされているため、実際よりも低めに見えてしまっているように思います。

シェールガス革命

この業界(とりわけ石油・ガス関連業界)の注目キーワードとしては「シェールガス革命」が挙げられます。

シェールガス・シェールオイルは地中の頁岩(シェール)層と呼ばれる地層から採取される化石燃料です。

頁岩の中に天然ガスや石油が含まれていることは昔から分かってはいたものの、地下2000~3000mに存在する岩石内部のガスや石油を抽出する方法が無く実用不可と言われていたのですが、水圧破砕法という採掘方式が発明されて実用可能となりました。

水圧破砕法を簡単に説明すると、地中の頁岩層に鋼管を通してそこから超高圧の水を射出させて頁岩に亀裂を入れ、内部のガスや石油を抽出するという方法のようです。

シェールガス・オイルは中国、アルゼンチン、アメリカなどに多く埋蔵されており、上記した技術革新の結果、アメリカ本土でのガス・石油採掘が一気に増加しました。

いまやアメリカは天然ガス・石油ともに世界最大の産出国になっています。産出国のランキングがガラッと変わるような情勢変化を生んだことから「革命」と言われるようになりました。

このシェールガス革命に乗る形で、日本企業は投資を活発化させています。

電力会社やガス会社は商社とタッグを組む形で米国産ガス・石油を買い付けて輸入し始めましたし、石油化学産業は石油を原料とする製品(塩化ビニール等)の工場をアメリカに建設しています(信越化学などが積極的です)。

また、鉄鋼メーカーは採掘用の鋼管製造に食い込んでいます。上述した通り、シェールガス・オイル採掘用の鋼管は高圧水流の流路となるため、頑丈さが要求されます。その点において日本の鉄鋼メーカーの鋼管は高評価を得ているようで、高いシェアを確保できているようです(「シームレスパイプ」などを検索してみてください)。

世界レベルでエネルギー情勢が変化していますので、目が離せない状況だと言えるでしょう。

電力事業者とガス事業者の境界線が・・・

電力・ガス事業者と聞くと「安定業界」というイメージを持たれる方が多いと思います。確かに、不況に強く地域独占で価格競争になりにくいという特徴がありますので、安定業界というのは間違いありません(でした)。

しかし、3.11.震災以降に国のエネルギー政策が転換し自由化が始まったことで、現在は地域独占が崩壊して競争市場化が進行しています。

2016年4月に電力小売(一般家庭向けの電力販売)が自由化されました。それまでは地域の送電を担う一般電気事業者(東京電力・関西電力等)の地域独占だった電力小売に、新しい企業の参入が可能となったのです。そしてその1年後、2017年4月には都市ガスも同じように小売自由化されました。

これによって現在、電力・ガス事業者の顧客争奪戦が起きています。両業界ともに「電力・ガスの一括契約」を旗印にお互いの顧客を奪い合っているのです。

電力・ガス事業者はビジネスモデルが似通った業態です。

どちらも化石燃料を仕入れ、それを使用して発電するか都市ガスを生成するかして、配給ネットワーク(電線・ガス管)を通じて顧客に届けるというビジネスです。また、使用量を検針し、個別に料金を請求・精算するという機能も持ち合わせています。そのため、「既存事業を活かして多角化しよう!」と考えた場合、互いのビジネス領域が必然的に拡張先となってしまうのです。

今後、2020年には電力事業者の発送電分離が、2022年にはガス事業者の導管分離が行われます。

配給ネットワークの部分が分社化され、様々な供給企業が公平に参入できる環境がより整備されることになりますので、今よりももっと電力・ガス事業者の境界線は曖昧になっていくことが予想されます。

異業種(商社等)からの参入も増えそうですので、より競争力が求められる時代になっていくと思います。

コモディティ化に抵抗する素材業界

コモディティ化(商品の差別化が不十分になり、価格以外に差が無くなること)は素材業界でも猛威を振るっています。

顕著な例としては鉄鋼業や製紙業が挙げられるでしょうか。

両業界ともに中国の生産量が激烈な勢いで伸びており、それに押される形で日本企業の生産量は縮小傾向です。

業界平均の設備で生産可能な低付加価値製品の分野においては、人件費・土地代といったコスト面で日本企業は不利と言わざるを得ません。必然的に、高付加価値製品に活路を求めることとなります。

そんな高付加価値製品の成功例を2つご紹介しましょう。

まず1つ目は、鉄道の線路に使われるレールです。

レールにはいくつか規格があり、1メートル60kgのものが世界的に主流ですが、近年1メートル80㎏の重いレールの需要が高まっています。レールは重くなればなるほど耐久性が上がり、振動が抑えられて列車の安定性も向上しますので、高速鉄道や貨物列車の積載量向上には重いレールが不可欠なのです。

この80kgレールですが、今のところ製造できるのは新日鐵住金とJFEスチールだけです(世界でこの2社だけ)。数十メートルのレールを均一に加熱・加工する技術が必要であり、他国製鉄企業は今のところ真似できていません。

2つ目は、液晶テレビ・モニターに使われる偏光板です(偏光板の詳しい原理は各自で調べてください!)。

液晶モニタ用の偏光板は光学用ポバールフィルム(PVA)と保護フィルム(TAC)を貼り合わせて作られますが、PVAはクラレと日本合成化学工業(三菱ケミカルの子会社)の2社独占ですし、TACも富士フィルムとコニカミノルタの2社で世界シェアの9割を握っています。

電機メーカーごとのコダワリに応えて微調整可能な点も強みですが、何より「フィルムの薄さ」の面で日本の素材メーカーは抜けているそうです。

素材業界は電機業界よりBtoB色が強いため、「一般消費者の求める付加価値をデザインする」という日本人の苦手な面が出にくく、「技術力で押していく」という得意なパターンに持ち込めているように感じます。

とは言え、研究開発費にも限りはありますから、自社の技術で勝負できる素材分野に「選択と集中」することが必要となるでしょう。

求められる資質や能力は?

資源・エネルギー・素材業界で必要とされる能力は「情勢を読む力」だと思います。

この業界は現代人の生活基盤を支える商品を扱いますので、国家戦略といった国レベルの情勢変化によって大きく影響を受ける可能性があります。

上記したような国内エネルギー政策の転換であったり、グローバル視点では最近激化している米中貿易戦争などによって「いきなりライバル企業が出現!」とか、「自社製品が禁輸を食らった!」なんてリスクがゴロゴロ転がっているのです。

そのため、リスクマネジメントという観点がとりわけ重要な業界と言えます。

各国政府や首脳が何を考えているのか、どこの市場でどんな変化が起きつつあるのか、といったことにアンテナを張り巡らせて、「リスクを最小限に抑えたうえで利益を確保する」ことができると貴重な人材になれるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、資源・エネルギー・素材業界は生活基盤を支える商品を扱っている業界ですので、世界各国の政府や企業が「存在感を向上するためにシェアを確保しよう!市場を支配しよう!」という思惑を持って競走に参入しています。それゆえ、「顧客目線」に加えて「他社に対してどうやって優位性を築くか」という勝負マインドを一層強く求められる業界です。

激しい競争の中で自分の価値を示したいという方はこの業界への就職も検討してみてはいかがでしょうか。

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吉田 竜一

大手外資系企業のプロジェクトマネージャーを経て、人財育成コンサルタントに転身後、人材育成研修等のプラン設計・講師などを歴任。現在、アンタントコンサルティング株式会社代表。「企業と人財のミスマッチを防ぎ、現場力を高める」がモットー。

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