★デキルニンの就活業界分析★物流・運送業界編

デキルニンオリジナルの【物流・運送業界分析情報】です。業界を細分化して分類。さらに物流・運送業界の「離職率」や「平均給与」情報も掲載。もちろん、業界動向が分かる「TOPICニュース」や「今後の業界展望」、「求められる資質や能力」にも言及!

人財育成コンサルタントの吉田竜一です。

業界分析とは、世の中にある業界の種類やその特徴を知り、自分が興味のある業界を見つけるために行う就活の大事な作業のひとつ。

「人気企業ランキング」などを見る前に!
業界地図などの本を読む前に!

まずは各業界の概要を知ることから始めましょう。

今回は、物流・運送業界を取り上げます。

「モノや人を運ぶ」ことをビジネスの中心に据えている企業が対象です。

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物流・運送業界を細分化してみる

物流・運送業界は大きく「モノを運ぶ」ビジネスと、「人を運ぶ」ビジネスに2分されます。

細かく業界を分類すると下記の通りとなります。

モノを運ぶ:運送業(郵便業)、海運業、引越し会社
人を運ぶ:鉄道業、航空業、バス事業、フェリー事業、タクシー事業
関連事業等:倉庫業、空港会社、空港運営関連事業、税関

①と②の事業を両方とも手掛けている企業も数多く存在します。また、いわゆる交通インフラにあたる業界ですので、半官半民の企業や元々は国営だったという企業が多いのも特徴です。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

この業界は基本的に左から4番目の「運輸業、郵便業」が該当しますが、日本郵便(株)のみ右から2番目の「複合サービス事業」に含まれます。

グラフの数値的には平均的な業界と言えますが、実態としては企業ごとに離・入職率が大きく変動する業界です。鉄道・航空業界などは専門的な技術が必要ですし、「乗り物愛」の強い人々も多いので、離・入職率はグラフの値よりも低いと思います。逆に運送業界、特に陸運関連はグラフよりも高数値で、離・入職が高頻度に発生しているように見えます。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

この業界は赤色太線の「運輸業、郵便業」に該当しますが、日本郵便(株)のみ水色太線の「複合サービス事業」に該当します。

給与水準はグラフ通り平均的です。非正規職員も多い業界ですので、大卒総合職であればもう少し高めの給与となりますが、この「ジワジワ上がっていく感じ」は変わりません。

この業界は「無事故で時間通りに運ぶ」ということが最大の任務であるため、人事評価で差がつきにくく定期昇給分だけ積み重なっていくことが多いです。成果によって変動する手当も少ないようです。(ドライバー、運転手、車掌といった職種であれば、運送距離に比例した手当はあったりしますが…)

若手人材の不足が課題!

物流・運送業界は若手人材の不足が顕著な業界です。

最も有名なのは陸運のトラックドライバーで、ニュースでもよく取り上げられていますよね。実際、下記グラフのようにドライバーの高齢化が進行しています。


(引用:国土交通省「物流を取り巻く現状について」)

また、トラックドライバーに限らず、物流・運送の現場仕事の若手人材不足は色々な場所で噴出しています。

同じく大型車両であるバスのドライバー確保も困難になっているようで、最近では、京阪バスが京都市バスの受託事業から2019年度末に撤退するというニュースもありましたし、成田空港の保安検査員が大量離職という報道もありました。宅配業者のAmazon取扱い撤退も人手不足が要因の1つのようです。

こうなってしまった原因は「労働環境がハード」というイメージを若者に持たれてしまっているからだと思います。この業界は運送・運行スケジュールを守るために「勤務シフトによって自由時間を削られる」という傾向はありますし、長時間労働も多めです。

また、日本人は良くも悪くも分刻みで到着時刻に厳しい人種ですから、「時間通りに運送せねば…」という精神的なプレッシャーも大きいと言えます。

航空・船舶関連においては、インターネット接続環境が不安定になりがちな点も、若者にとって減点材料のようです。「海の上で休憩時間貰ってもLINEがつながらな~い!」ってことです。

こういう状況ですので、労働環境イメージの改善が急務です。

とは言え、労働力が不足している状況で労働時間を減らしてしまっては業務が回らなくなってしまいますので、舵取りは非常に難しいのが現状です。少人数でも仕事が回るように生産性を上げていかねば社員の余暇時間も確保できませんし、利益も上がらないので報酬水準も上げられません。

生産性を向上し、お客様だけでなく、そこで働く人にとっても魅力的な会社になることを迫られているのが物流・運送業界だと言えるでしょう。

海運不況と再編の波

現在、海運業界は世界的な不況に陥っています。(気になる方は海運運賃の指数として有名な「バルチック海運指数」を調べてみてください)

海運業は海という国境意識の希薄な場所でビジネスを行うため、グローバルマーケットでの競争が避けられません。そして、「物品を指定場所へ期限内に運ぶ」というシンプルな商売ですから、品質の違いが打ち出しにくく価格競争になりやすいという特徴があります。

そんな特徴の中で、リーマンショック以降の世界経済をけん引してきた「中国の爆食」が沈静化傾向になったため、海上輸送量が伸び悩むようになり、「世界的船余り」が起きた結果、価格競争が激化して運賃相場が下がり続けているのです。

価格競争になると、いかに他社よりコスト面で優位に立つかが重要となります。

海運業においては、「船の巨大化」と「積載率の向上」がコスト圧縮の鍵ですので、企業規模が大きいほど有利です(造船予算の調達と多数の顧客を抱えることで貨物相乗りによる積載率向上が容易になるため)。

そのため、世界規模で業界再編が起きています。

世界シェア1位のAPモラー・マースクが2016年に当時世界7位であったハンブルク・スードを買収合併しましたし、日本の海運大手三社(商船三井、日本郵船、川崎汽船)も2018年春に各社のコンテナ船事業を切り離して新会社OCEAN NETWORK EXPRESSに統合しました。

今後も運賃価格競争は続きそうですので、継続的なコスト圧縮が必要となるでしょう。

鉄道各社の沿線開発

日本の鉄道業界は各社ごとに収益構造が異なっていて興味深い業界です。

例えば、東京メトロは元々が半官半民の特殊法人で、現在も財務大臣と東京都が大株主であるため、多角化はあまり進めていません。数字としても売上の約88%が運輸事業によるものです。

それに対して、JR東日本の売上に占める運輸事業の割合は約68%で、流通(小売)サービスが17%、不動産事業が11%と運輸以外の事業で売上の3分の1を稼いでいます。

そして、極めつけは近鉄グループです。近鉄グループの運輸事業はグループ売上の約19%にすぎません。ホテル・レジャー事業約39%や流通(小売)事業約32%の方が事業規模としては大きいくらいです。

鉄道業界の旅客運賃収入はどうしても沿線の人口に比例しますので、日本の人口減少は巨大な脅威です。そのため、鉄道業界は駅を中心にサービスや流通を展開し、多角化することで売上を伸ばそうとしています

これはいわゆる「沿線開発」という方式です。

バブル期は、私鉄が観光地に旅館やホテル、レジャー施設を建設して人を呼び込む形式が有名でしたが、最近は「日常的な利用シーンを重視した沿線開発」が多いです。成功例としては、駅徒歩ゼロ分を売りにできる駅ビル+駅ナカの不動産事業があげられます。大阪梅田のソラマチや、新宿のミライナタワーなどが有名ですよね。

多角化の成否を分けるのは、結局のところ沿線人口・駅利用客数ですので、沿線の魅力を高めて住民を集めるという「沿線のブランド化」が重要な時代なのかもしれません。

ビッグデータ

物流・運送業界はビッグデータとの親和性が高い業界として注目を集めています。

日頃から大量の荷物や旅客を運送するというビジネスの性質上、「どのエリアにどんな人が住んでいて、どんな活動をしているか」「どんな荷物をいつ預かって、どれくらいの時間で配送しているか」といったデータが日々蓄積されていきますので、利用しない手はありません。

物流・運送業界のビッグデータ活用法を考える場合、2種類のアプローチがあります。

1つ目は「ビッグデータを活用して、物流・運送ビジネスをより安全で効率的なものにする」というアプローチ。

2つ目は「多角化のためにビッグデータを活用する(もしくは他業種他社に売る)」というアプローチです。

ただ、実際のところは思うように進んでいないのが現状です。

1つ目のアプローチにおいては、現場発言力の強い業界風土が、「データやシステムによって導き出された最適解」を拒む傾向にあるということ。2つ目のアプローチに関しては「多角化や他社向け販売に利用できそうなデータほど、個人情報保護法に抵触しそう」であり、積極的になりづらいということが要因ではないかと思います。

どちらにせよ、活用を進めるためには「理解を得る」ことが必要です。

前者の場合はデータ活用の価値を現場に理解してもらう、後者の場合は個人を特定できないような工夫をしたり提供を拒否できる仕組みがあることを通知したりすることで消費者の理解を得る、という地道な取り組みが求められているのではないでしょうか。

求められる資質や能力は?

物流・運送業界で必要とされる能力は「論理思考・論理説明力」です。

この業界は現場職員が多いうえに、支店・駅・空港・物流基地など拠点数が多く、従業員が分散しがちです。そのため、どうしても「現場職員の発言力が強く、彼ら(彼女ら)の経験と勘に基づくやり方が優先されやすい」という傾向があります。

ですが、仕事の効率・安全性を高めるためには「経験と勘を一旦排除して論理ベースで考え直す」ということが必須です。「どうすれば、より効率的でより安全か」を論理的に考え、それを分かりやすく噛み砕いて現場職員に説明し、「違和感あるけど試しにやってみようか」という気にさせることが求められると思います。

また、多角化を進めるというシーンにおいても「事業ビジョンを示し、利益が出ることを首脳陣に理解させる」ことが求められますので、論理思考・論理説明力があると大きな武器となるでしょう。

物流・運送業界は、私たちの日常生活に欠かせない業界です。お客様の命や大事な荷物を預かるという責任は重いですが、そこに大きなやりがいを感じられることも事実です。

「身近な人に、『アレをやっているのか』と分かってもらえる仕事がしたい」と思う方は、この業界も選択肢に含めてみてはいかがでしょうか。

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吉田 竜一

大手外資系企業のプロジェクトマネージャーを経て、人財育成コンサルタントに転身後、人材育成研修等のプラン設計・講師などを歴任。現在、アンタントコンサルティング株式会社代表。「企業と人財のミスマッチを防ぎ、現場力を高める」がモットー。

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