★デキルニンの就活業界分析★小売・卸売業界編

デキルニンオリジナルの【小売・卸売業界分析情報】です。業界を細分化して分類。さらに小売・卸売業界の「離職率」や「平均給与」情報も掲載。もちろん、業界動向が分かる「TOPICニュース」や「今後の業界展望」、「求められる資質や能力」にも言及!

人財育成コンサルタントの吉田竜一です。

業界分析とは、世の中にある業界の種類やその特徴を知り、自分が興味のある業界を見つけるために行う就活の大事な作業のひとつ。

「人気企業ランキング」などを見る前に!
業界地図などの本を読む前に!

まずは各業界の概要を知ることから始めましょう。

今回は、小売・卸売業界を取り上げます。

「安く仕入れて高く売る」というシンプルな原則は不変ですが、その原則をいかに成し遂げるかという点については、個々の企業で独自性が強く出る業界です。

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小売・卸売業界を細分化してみる

小売・卸売業界は、基本的に自社の生産設備は持たず、他社が製造した製品を仕入れ、消費者あるいは別の業者に販売することで利益を生み出しています。

大きくは以下の3つの業種に分かれます。

小売:スーパー、百貨店、家電量販店、ドラッグストア、コンビニなど
卸売:食品卸、酒類卸、生活用品卸、金属卸、資源卸など
商社:総合商社、専門商社(資源、機械、衣服など)

②卸売と③商社の違いが分からない!という方がいらっしゃると思いますので、簡単に説明します。

製造メーカーと小売業の間に入って商品流通の仲介を行うのが「卸売業」。商社は「卸売業」の中の1つの業態で、主に流通/配送網を持たない企業を指すことが多いです。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

この業界は、その文字通り、左から5番目の「卸売業、小売業」に該当します。

ご覧の通り、小売業と卸売業を合わせると離・入職の頻度については平均的と言えるのですが、実際は小売業の人材異動がもう少し激しめで、卸売業は逆に低いかと思います。卸売業はBtoBで、小売業より専門化する傾向がありますので、転職は少ない傾向にあります。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

小売・卸売業界は、赤色太線です。

「卸売業、小売業」は、非正規従業員の割合が多いため、給与関連の統計においては不利と言える業界ですが、実際は個々の企業によって違いが大きく、卸売・商社の中には20代で年収1000万に乗るような高給企業も多いです(勿論求められる仕事水準も非常に高いです)。また、1つの企業内においても、給与水準のバラツキは激しい印象があります。

小売にしても卸売・商社にしても、「誰がどれだけ売ったか・利益を出したか」が数字で出やすい業界なので、成果が報酬や昇進に繋がりやすいのです。

EC化によって明暗が分かれる

インターネットの登場によって、小売業界・卸売業界は大きく変化しています。

特に、従来から存在する小売企業はインターネット取引の増加によってドンドン厳しい状況に追い込まれています。参考に経済産業省の「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」から、商品ジャンル別のEC(電子商取引)化率の表を引用します。

※表中の市場規模はEC市場の取引額を表しています。

この表を見ると一目瞭然ですが、「最近不調である」というニュースを聞くことが多いのはEC化率の高い商材を扱う小売・卸売企業です。

②の家電を扱う家電量販店、③の書籍を扱う書店、⑤雑貨・家具や⑧事務用品・文具といった商品を扱う百貨店などは、「赤字決算」だとか「〇〇店が閉店」なんてニュースが残念ながら多いです。

(ちなみに、③のEC市場規模には電子書籍や音楽・映像のネット配信は含まれていません。紙の書籍や音楽CD、映画DVD・ブルーレイのEC取引のみ計上されています)

しかし、従来型の小売・卸売業界が苦戦する一方で、EC化に上手く乗ることで利益を拡大する企業も存在します。例えば、業者専用の衣料・雑貨等卸売サイト「スーパーデリバリー」を運営する株式会社ラクーンなどが挙げられます。

「売れ筋の商品や利幅の大きい商品に特化する」という経営戦略をとりがちな卸売業界にて、「ネット経由で独自性のある商品を卸売する・少量多品種に力を注ぐ」というスタイルを掲げることで差別化に成功し、2016年には東証一部上場企業となりました。

ECサイトは実店舗と違い、距離的な制限がありませんので、Web上の全ての店舗が競合店になり得ます。そのため、顧客の目を引く独自性を出すことがEC化を乗り切り、利益を確保するカギとなるでしょう。

ビジネスモデルを変えて「問屋無用論」を乗り越える

まずは、卸売業界の方から見ていきます。

卸売業界を考える際に、ここ数十年使い古されてきたキーワードとして「問屋(卸売・商社)無用論」という言葉があります。意味は字面そのままで、「問屋・卸業者が要らない時代が来るだろう」という論です。

この論が世に出始めたのは高度経済成長期の頃(1960年代)です。

小売店の大型化や大資本化が進み、民間の宅配業者も増加してサービスの質も向上してきたことから、「小売業側が大規模になり、流通網を自前で整備して効率化を図っていけば、中間の問屋は不要になるだろう」という推測をしたわけです。

その後もこの論はマイナーチェンジを繰り返し、70年代のオイルショック、80年代の円高、90年代以降のIT化などによって「問屋は消える」と主張され続けてきました。しかし、2018年現在において問屋はいまだ存続していますし、一部卸売業者や商社は好調なくらいです。

例えば商社、とくに5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠、住友商事、丸紅)の2018年3月期決算はどこも絶好調で、三井を除く4社で年間最高益を更新しました。主力商品である資源の価格が安定的だったのが主要因ですが、各社が手掛けている新しいビジネスが利益を挙げている点も見逃せません。

コンビニに投資したり(三菱→ローソン、伊藤忠→ファミマ)、電気小売に参入したり(丸紅)、ブラジルで農業を始めたり(三井)、ケーブルテレビに投資したりと(住商→J:COM)、様々なビジネスシーンに食い込んで行くことで利益を上げるビジネスモデルを築いています。

結局のところ、「問屋無用論」は当たっていたのか外れていたのかと言うと、「割と当たっていたのではないか」と筆者は思います。

無用論が当たっていたからこそ、問屋(卸売・商社)は危機感を持って自らのビジネスモデルを変容させ、生き残ってきたのではないでしょうか。

問屋(卸売・商社)というビジネスは、その特性上「儲け話」を収集することに長けていますので、今後も時代に適応してビジネスモデルを変革していける「"元"問屋」は生き残って利益を出していくでしょうし、適応に乗り遅れた問屋はドンドン厳しさが増していくのではないかと思います。

大規模投資と切っても切れない小売の関係

次に小売業界を見てみましょう。

小売業界は、大規模な投資と切っても切れない関係にあります。

新規開店1つとっても、土地確保、店舗・倉庫建設、設備購入・設置、スタッフ雇用、商品仕入れ…と、実際に商品を販売して売上を計上するまではひたすら投資&投資です。さらには、ネットショップの開設、流通網の再構築、プライベートブランド開発まで最近は要求されます。これまた大規模な先行投資の嵐です。

こういった特徴がありますので、1つ選択を間違えると投資金額が負債化して一気に経営が悪化するという怖い業界でもあります。

小売業は移り気な消費者を直接相手にする商売ですから、非常に変化のスピードが速いです。加えて先進国の小売業界はどこもデフレ&過当競争で利益率も伸び悩んでいますので、変化に乗り遅れて商品価格やサービス面で競合店に劣ってしまうと他店に顧客を奪われてしまい、一気に経営が悪化します。それゆえ、「投資をせねば長期的に生き残れないが、投資に失敗すると即致命傷になる」というジレンマが悩みのタネとなっているのです。

また、このジレンマは中小規模の小売業者が淘汰されている原因の1つでもあります。

ハイリスクな投資を連続させねばならない環境は経営体力の無い中小企業にとっては負担が大きいのです。今後もこの流れは続くでしょうから、小売店の大規模化・大資本化はまだまだ進行していくように思います。

求められる資質や能力は?

小売・卸売業界で必要とされる能力は「コミュニケーション能力」です。

それも、ただのコミュニケーション能力ではなく、「異文化に溶け込めるコミュニケーション能力」が必要ではないでしょうか。

小売・卸売業界は社外の人間とのコミュニケーション機会が多かったり、各拠点非正規スタッフとのチームワークを求められる場面が多い仕事です。そのため、一般的な事務系の内勤職に求められる「社内総合職のチーム内でのコミュニケーション能力」より「多種多様なバックボーンを持つ集団の中で、チームワークを構築・遂行できるコミュニケーション能力」が求められるのです。

特に、卸売業界で海外仕入れなどを担当するのであれば、それこそ異国の文化や商習慣に合致したコミュニケーションが求められますので、「場面に応じてキャラを切り替える」というようなことができると大きな武器になると思います。

小売・卸売業界は時代のトレンドを捉え、取捨選択をしながらビジネスモデルを変容しつつ、適応していくことがこれからも求められるでしょう。

「商い」の本質に近いところで勝負したいという方にはオススメの業界です。

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吉田 竜一

大手外資系企業のプロジェクトマネージャーを経て、人財育成コンサルタントに転身後、人材育成研修等のプラン設計・講師などを歴任。現在、アンタントコンサルティング株式会社代表。「企業と人財のミスマッチを防ぎ、現場力を高める」がモットー。

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