★デキルニンの就活業界分析★アパレル(衣料・装飾・化粧品)業界編

デキルニンオリジナルの【アパレル業界分析情報】です。業界を細分化して分類。さらにアパレル(衣装・装飾・化粧品)業界の「離職率」や「平均給与」情報も掲載。もちろん、業界動向が分かる「TOPICニュース」や「今後の業界展望」、「求められる資質や能力」にも言及!

人財育成コンサルタントの吉田竜一です。

業界分析とは、世の中にある業界の種類やその特徴を知り、自分が興味のある業界を見つけるために行う就活の大事な作業のひとつ。

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業界地図などの本を読む前に!

まずは各業界の概要を知ることから始めましょう。

今回は、アパレル(衣料・装飾・化粧品)業界を取り上げます。

大学生に対して身近な商品を扱っているという点では、食品業界と並んで双璧の存在かもしれません。

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アパレル業界を細分化してみる

今回は、人間の「装い」に関する幅広い分野を対象としています。扱っている商品ジャンルで分類すると、概ね以下のようになります。

衣服:シャツ、ズボン、ジャケット、スカート、下着など
装飾・雑貨:靴、鞄、ジュエリー、眼鏡、革製品など
化粧品:香水、口紅、化粧水、ファンデーション、マニキュアなど
部品類:生地、ボタン、ファスナーなど

この業界は「製造」と「小売」という2つの両輪から成り立っており、「製造」と「小売」の両方を自社で行う企業もあれば、どちらか一方のみでビジネスを展開している企業もあります。

「製造」と「小売」では、大卒総合職社員に求められる仕事が違ってきますので、志望者の方は「どういった仕事を任されるのか」という点は欠かさずチェックするようにしてください。

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

先述の通り、この業界は「製造」と「小売」の二面性がありますので、こちらのグラフでは左から2番目の「製造業」と5番目の「卸売業・小売業」が混ざり合っている企業が多いと思います。

どちらのグラフにおいても、離職・入職率は平均~やや低めと言える業界です。ただ、この業界は機械・重工業などと比べると技術知識・業界知識の汎用性が高く、競合企業数も多い傾向があるため、待遇や職場環境を求めて離・入職される方はグラフ上の数字より多めではないかと思います。

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

アパレル業界は先ほどのグラフと同じく、緑色太線の「製造業」と赤色太線の「卸売業、小売業」に含まれます。

「卸売業、小売業」は非正規従業員の割合が多いため、こういった給与統計においては平均を下回る数字が出てしまいます。薄利多売化が進んだ結果、従業員の所得面が伸びにくい環境であると感じます。ただ、製造にしろ小売にしろ「能力・センスの違いが数字として出る」業界ではありますので、実績に見合った待遇を重視される方には向いているかもしれません。

若者が服にお金を使わない!?

アパレル業界を悩ませている課題として「若者の衣料品支出額の低下」があります。

参考として、消費者庁の「平成29年度消費白書 第1部 第3章 第1節(2)若者の消費支出について」から「1か月当たりの品目別平均支出額(洋服)」のグラフを引用します。
(30歳未満の単身世帯の若者が、1ヵ月にいくら衣料品に支出するかを表したグラフです)

99年と2014年の消費額を比べると、男性は約58%、女性は約45%の大幅減となっています。高齢世代で支出縮小が進むならまだしも、将来の消費の中心である30歳未満世代において支出縮小が起きるのは「危険な兆候」と言わざるを得ないでしょう。

消費の縮小が起きたのは、「①不景気で消費者の消費全体が落ち込んだ」という要因と「②ファストファッションが登場し、平均単価が下落した」という2つの要因が同時期に噛み合ってしまったことが大きいと筆者は考えています。

上記、消費者庁のレポートにおいても触れられていますが、2000年頃から若者の家計消費合計額は下落傾向です。しかし、住居費・光熱費・通信費・医薬品費などは簡単に減らせるものではありませんので、食費・衣料費などにしわ寄せが来ることになります。

そんな時代の流れに合致する形で、従来より安価なファストファッションが登場したため、衣料費が相対的に「コストカットが容易な分野」になってしまい、衣服にかける金額が劇的に減少しているのではないでしょうか。

今後もこの傾向は続くと予想されますので、アパレル業界は「若者の新しい消費スタイルと共存できるビジネスモデルの構築」や「若者が衣料費を増やしたくなる仕掛け」が課題として突き付けられているのではないでしょうか。

新しい売り方~原価公開~

若者に対する「新しい衣料品の売り方」の例として、2,3年前から話題になっている「原価公開」という手法があります。この売り方は、アメリカの新興アパレル企業であるEVERLANEが始めた販売方式で、商品原価を公開することで「お客様に納得して買ってもらう」ことを目標にしています。

オンラインストアの各商品ページに、生地原価、部品(ボタン・ファスナー等)原価、縫製費、関税額、輸送費といったコストを明示し、「この商品の原価は何ドルか」「何ドルがEVERLANEの利益になるのか」といったことが分かるようになっているのです。

EVERLANEは縫製工場での製造過程を映した写真なども多数アップしており、徹底して「透明性」のアピールを重視しています。旧来のメディアによる「強引なブームの生成」や「誇大広告」に対して反感を抱いている消費者にとって、こういった透明性を確保する売り方は「納得感」「安心感」を与えることに繋がり、売上は順調に増加しているようです。(ただ、この売り方が長期的に成功するかという点について、筆者は懐疑的に見ています。消費者の値下げ欲求を過剰に刺激しかねないと懸念しています)

消費者の価値観は多様化しており、個々人が自分好みの衣料品を買うような時代になりましたが、それゆえ「金額に見合ったものを買う」という「コスパ指向」が唯一共通の価値観として残った形になっており、存在感を増しています。

消費者にとって魅力のある商品を作ることは勿論大事ですが、「売り方・見せ方」も含めて、お客様の満足度や納得度を高めることが重要になってくるのではないでしょうか。

海外に販路を拡大する化粧品

次に、化粧品業界を取り上げます。

国内の化粧品業界はバブル崩壊以降(衣料品と同じく)不振でしたが、ここ数年は海外輸出の増加に伴って好調に転じています。(海外輸出額は2012年には1325億円でしたが、2018年は8月時点で約3400億円と年間5000億円を超える勢いです)

しかし、「輸出先地域がアジア、とりわけ中国に偏っている」という懸念も生まれています。中国向け(香港含む)が全体の6割、中国以外のアジア向けが全体の3割を占めており、アジア圏の政治・経済状況が売上や利益に直結してしまうというリスクが生じているのです。

そういったリスクは化粧品業界も重々承知ですから、アジアだけでなく欧米でも販売を拡大したいと考えています。しかし、裕福な消費者の多い欧米マーケットには既に欧米有名ブランドがひしめき合っていますので、そこに割り込んでシェアを獲得するのは容易ではありません。

そんな状況を打破しようと、資生堂は2016年にDOLCE&GABBANA(以下D&Gと略)とライセンス契約を結びました。イタリアの高級ブランドとして知名度の高いD&Gの化粧品の生産・販売までを独占的に手掛けるライセンス契約であり、D&Gブランドをテコにして海外売上を拡大していく狙いがあるようです。

「自社ブランド名が浸透していないのであれば、ライセンス契約や企業買収を駆使して他社ブランドを使えるようにすればいい」という戦略と言えるでしょう。シャープを買収した鴻海精密工業の思考回路と似ていると言えるかもしれません。

ただ、2017年期末決算と2018年上半期決算を見るに、「日本円換算で欧州売上は拡大しているが、利益は拡大していない」という状況で、当初のインパクトほど上手くいっているワケではないようです。欧米の有名ブランドとのライセンス契約となるとライセンス料も高いでしょうし、広告宣伝費も途上国とは比較にならない水準でしょうから、「儲かる事業」に育てあげるにはまだまだ工夫が必要です。

アパレル業界は「技術の差」が「商品価値」に直結しにくい業界です。

そのため、他の業界と比較して「ブランド」の重要性が相対的に高いと言えます。今後も「ブランドをどう利用するか」「ブランドに対していかに価値を感じてもらうか」といった点が利益拡大のカギとなるでしょう。

求められる資質や能力は?

アパレル業界で必要とされる能力は「発信力」ではないでしょうか。

この業界は、非常に競合相手の多い業界です。Tシャツを1枚買おうと考えただけで、実際に購入候補となるブランドの数は両手で数え切れません。ショッピングモールに行けば、それこそ数十の販売店がしのぎを削っているのが目に見えて分かります。

このような業界の特徴がありますので、売上を向上させるためには消費者の注目をいかに集めるかという点が非常に重要です。だからこそ、「発信力」が必要なのです。

「ブランド価値をアピールする」にも「店舗で来店客に買ってもらう」にも、「魅力を伝える発信力」がモノを言います。「良い商品を作っていればいつか報われる」という考え方は、ある種の日本人的な美学なのかもしれませんが、その「良い商品である」という事実も発信がなくては伝わりません。

アパレル業界で能動的に生き残っていくためには、「モノづくりだけに力を入れて、販売は受動的」というのではなく、自ら進んで「発信していく」ということが不可欠だと思います。

国内のアパレル企業では今後、「海外シェアの拡大」と「国内市場の再興」という2つの課題に取り組んでいかねばなりません。

こういった経営課題の成否を分けるのはマーケティングだと思いますので、「マーケティングに興味がある。実際のグローバルマーケットにおいて、様々なマーケティングを試行錯誤してみたい!」と考えていらっしゃる方には超オススメの業界です。

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吉田 竜一

大手外資系企業のプロジェクトマネージャーを経て、人財育成コンサルタントに転身後、人材育成研修等のプラン設計・講師などを歴任。現在、アンタントコンサルティング株式会社代表。「企業と人財のミスマッチを防ぎ、現場力を高める」がモットー。

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