★デキルニンの就活業界分析★食品業界編

デキルニンオリジナルの【食品業界分析情報】です。業界を細分化して分類。さらに食品業界の「離職率」や「平均給与」情報も掲載。もちろん、業界動向が分かる「TOPICニュース」や「今後の業界展望」、「求められる資質や能力」にも言及!

人財育成コンサルタントの吉田竜一です。

業界分析とは、世の中にある業界の種類やその特徴を知り、自分が興味のある業界を見つけるために行う就活の大事な作業のひとつ。

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まずは各業界の概要を知ることから始めましょう。

今回は、食品業界を取り上げます。

若者のコスパ志向や販売チャネルの多様化、貿易自由化などによって非常に変化が激しくなっており、若く柔軟な発想が求められる業界ではないかと思います。

ちなみに、有名食品メーカーや飲料品メーカーは就活において人気が「超高い」企業群です。大学生の皆さんにとって、「身近にある商品」のメーカーは仕事に実感が湧きやすいため、志望者が集中する傾向にあります。

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対象範囲と業種を細分化してみる

食品業界で取り扱う範囲は、いわゆる第一次産業の農林水産業と、その農林水産物を加工して食品として販売する食品製造業とします。

大まかに分類すると、以下の通りとなります。

農林水産業:農業、酪農畜産、水産、林業
食品メーカー:食品製造、食品加工、製粉、製パン、菓子製造、調味料製造、動植物油脂製造
飲料メーカー:清涼飲料製造、酒類製造
その他製造:飼料製造、たばこ製造、種苗製造、木材・合材製造
関連組合:農協、漁業組合、森林組合

離職率と平均給与

続いて、「離職率」と「給与」について、統計を確認しましょう。

まず、離職率です。


(引用:厚生労働省「平成29年雇用動向調査結果」より)

先ほどの分類にて、②③④に属するメーカーは左から2つ目の「製造業」に含まれます。⑤の関連組合は右から2番目の「複合サービス事業」が該当します。入職率・離職率ともに他業種と比べると低い業界です。

特に各種組合の属する複合サービス事業は入職率・離職率ともに最も低い結果になっています。農協・漁協・森林組合などは公務員色の強い仕事ですので、中途採用なども少なく、一度入った人が定年までそこで働くという文化が根強いのかもしれません。

①の農林水産業は上記統計には含まれていません。(推測ですが、この調査は5人以上の常用労働者を抱える事業所を対象としていますので、個人事業や小規模集団の多い農林水産業は調査対象になりにくく、統計として信頼できるサンプルの数に満たないのではないかと思います)

続いて、給与についてのデータをご紹介しましょう。


(参考:国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査」より)
※元資料142ページの数値データをもとにグラフを作成、代表的な業種をピックアップ

先ほどの分類の①は農林水産・鉱業(灰色太線)、②③④は製造業(茶色太線)、⑤は複合サービス事業(紫色太線)にそれぞれ該当します。

製造業分野を除くと、収入面は残念ながら全体平均を下回ってしまう業界です。

特に第1次産業に属する農林水産・鉱業は数値として厳しいと言わざるを得ません。農家の知人などに話を聞いてみても、「すごく儲かっている」というのはホントに一握りです。「採算はきついけど好きでやっている」という人が大多数ではないでしょうか。

ただ、やはり食べ物を作るというのは非常にやりがいのある仕事ですから、「仕事に対する満足度」という点は高いのではないかと思います。

良くも悪くもマネをしやすい業界

食品業界は良くも悪くも「他社・他商品のマネをしやすい業界」と言えます。

機械工業などと比較すると技術面のハードルが低いため、他社商品のマネが容易です。そのため、ヒット商品が出ると競合他社が同じベクトルの商品をすぐに開発し、一気に競争が激化するのが食品業界の特徴です。

最近の例だとペットボトルコーヒーなどが典型例です。
昨年サントリーの「CRAFT BOSS」がヒットしたため、各社後追いでペットボトルコーヒーの商品を開発してマーケットに投入しました。今や国内の有名飲料メーカーのほとんどが自社の缶コーヒーブランドでペットボトルコーヒーを販売しています。

商品寿命が短い

1件1件の商品開発コストもその他製造業に比べれば安価ですので、どんどん新製品が作られ、その陰でどんどん商品が消えていく業界です。つまり、「商品寿命が短い」ということです。

「あのお菓子好きだったけど最近見ないなぁ・・・」という経験をするのはこれが原因です。

また、商品寿命が短いゆえに、例外的に「ロングセラーにできた商品」は非常に貴重です。消費者を飽きさせないための新商品と、消費者に安心感を与える定番ロングセラー商品の両面で利益を出していくことが求められるのではないでしょうか。

EUとのEPAについて

あまり話題になっていないですが、影響極大と言えるニュースがEUとのEPAです。今年7月に協定署名が行われ、条約発効に向けた国内整備が進行中です。

EPAはEconomic Partnership Agreementの略で、「経済連携協定」のことです。関税の自由化に主眼を置くFTA(自由貿易協定)の内容に加え、知的財産の保護や競争ルールの整備といった点にも踏み込むのが特徴です。

このEUとのEPAで農産物や食料品についての関税が大幅にダウンする予定です。

EUから日本に輸入される商品では、ワインやチーズ、牛肉豚肉といったあたりが代表的です。ワインは発効と同時に関税が即時『撤廃』される予定です(個人的に非常に期待しています!)。輸入関税のダウンは、食品業界にとって原材料コストの低下というプラス面と、国外生産者との競争が激化するというマイナス面があります。

日本からEUへの輸出においては、牛豚鶏肉、醤油、緑茶から林産物(木材、合材等)まで広範囲に関税が即時撤廃されます。

EU圏の人口は5億人(※イギリス含む)に上り、TPP参加国と比較すると先進国が多く所得水準が高いため、単価の高い商品・嗜好品などにも販売拡大のチャンスがありそうです。

ブランドや知的財産を守るという世界の流れ

食品業界に限りませんが、今世界でブランドや知財を守るための商ルールの整備が進行しています。

上記EUとのEPAにおいてもブランドの保護制度である「地理的表示保護制度」が盛り込まれる予定です。特産品をあらわす特定のフレーズ(商品表示)をブランドとして指定し、他の一般商品ではそのフレーズを使えなくするという制度です。

説明文章だけではピンと来ないと思いますので、今回のEPAから具体例を出します。

日本国内にて表示制限を受けるフレーズで代表的なのは「ゴルゴンゾーラ」です。ブルーチーズの代名詞となっているゴルゴンゾーラですが、このフレーズはイタリアの限られた生産地で作られたチーズ商品にしか使用できなくなります。「国産ゴルゴンゾーラ」のように国産とか〇〇県産と冠をつけてもダメですし、「ゴルゴンゾーラ風チーズ」という逃げ方もNGのようです。

逆に、EU域内で規制されるフレーズには和牛関連が多いです。
「神戸ビーフ」「米沢牛」「特産松坂牛」といったフレーズをEU域内生産品に使うことは基本的に不可となります。

余談ですが、筆者の地元和歌山の産品では「紀州金山寺味噌」が指定されています。現時点で国内48品目が対象になっているので、皆さんの地元産品が入っていないかチェックしてみるのも面白いですよ。
(※参考「農林水産省 日EU・EPAにおける地理的表示(GI)の取扱いについて」)

類似商品が製作されやすい食品業界において、ブランド・知財を整備することは必須のアクションです。苦労してロングセラーで稼げる商品を作っても、「パクリ商品」に売上を奪われてしまっては元も子もありませんので、ブランド・知財に関するルールを活用し、利益を確保するという意識が必要です。

また、紙幅の関係上詳細は省きますが、農業や種苗企業に興味のある方は「種苗法」と「種子法」に関しても調べておいてください。「種子」の知財に関わる重大マターです。

食品業界の展望

皆さん旅行先で普段食べないようなものを食べて「美味しかったなぁ」と頭に残っているものはありませんか?

旅行という非日常の中での感動経験は頭に残りますから、旅行後の消費行動がそれに影響を受けるなんてこともよくあります。「美味しかった〇〇、通販してないかな?」と検索してしまうのが典型例です。

この観点から、訪日旅行客に食べてもらって「これ美味しい!」という体験をしてもらうのは、海外売上を向上させるために効果的だと考えられます。帰国後に「自国で入手できないかな」と考えてもらえれば、自然と海外売上に繋がるはずです。

訪日旅行客に食べてもらうためにパッケージデザインを変えたり、味を調整することも重要ですが、まずは安心して食べてもらえる環境をつくることが最優先です。

例えば「ハラール認証」などが挙げられます。
ハラールはイスラム教の戒律で許された食品・料理のことを指しており、イスラム教の方でも安心して食べられるという認証が「ハラール認証」です。いくら良い商品を作っても、口に入れてもらわねば意味がありませんので、「海外の人の抵抗感をなくす工夫」には積極的に取り組む必要があるでしょう。

また、インターネットを通じた販売チャネルの多様化にも対応していく必要があります。食品業界はいまだEC化率が2.4%程度(※注)に過ぎません。生鮮品を中心に「実物を見ずにネットで買うのは不安」というのが消費者の一般的な感覚です。

数字としてEC化は「壁にブチ当たっている」というのが現状ですが、この壁を打ち破ることができれば一気にマーケットリーダーに躍り出ることも可能です。購入ボタンをクリックしやすくなる工夫、つまりは「安心感・信頼感」を消費者に持ってもらう方法を模索するのが急務と言えるでしょう。
(※経済産業省「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査))

求められる資質や能力は?

食品業界で必要になるのは「バイタリティ・柔軟性・判断スピード」の3つです。

人口減少、コスパ志向、海外との競合、EC化といった環境激変要因があり、さらには商品寿命が短いという特徴まである業界です。

「昨日まで売れていた商品がパッタリ売れなくなる」なんて日常茶飯事に発生します。そんな中で、1つ1つのネガティブな事象に肩を落としている暇はありません。へこたれることなく、臨機応変かつスピーディに手を打っていける人材が求められるのではないかと思います。

餃子の王将のCMで流れる「食は万里を越える」というフレーズが筆者は大好きです。

「食」って芸術分野と同じくらい、簡単に国境を越えちゃうものだと思います。試行錯誤しながら「美味しい」を世界に届けるというミッションに興味のある方は、食品業界への就職を考えてみてはどうでしょうか。

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吉田 竜一

大手外資系企業のプロジェクトマネージャーを経て、人財育成コンサルタントに転身後、人材育成研修等のプラン設計・講師などを歴任。現在、アンタントコンサルティング株式会社代表。「企業と人財のミスマッチを防ぎ、現場力を高める」がモットー。

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